ラファエルソンの帰化については、ベトナム国内のファンだけでなく他の東南アジア各国も注視している。ベトナム代表は長い間、「純血主義(あるいは半純血主義)」を貫いており、ロシア系のGKダン・バン・ラム(元セレッソ大阪)やチェコ系のGKグエン・フィリップなどのハーフを除いて、ベトナム人の血が入っていない帰化選手たちを頑なに招集してこなかった。
しかし近年、インドネシアやフィリピン、タイをはじめとする東南アジア各国では、ヘリテージ型帰化選手で代表チームを強化する動きが顕著となっており、ヘリテージ型帰化選手(ベトナムにとっては越僑選手)の資源が少ないベトナムは、ラファエルソンのようなブラジル出身の帰化選手に門戸を開く必要性に迫られている。大柄な外国人選手が前線に起用され、ストライカーが育ちにくいベトナムでは、代表チームの決定力不足が以前から課題となっている。「グエン・スアン・ソン」の招集は、一時的とはいえ、ベトナム代表が長年抱える問題の解決に繋がると期待されている。