Supioのプラットフォームを採用した法律事務所TorHoerman Lawは、製薬メーカーのAbbott Labsに対する集団訴訟で4億9,500万ドルの損害賠償を勝ち取っている。Abbott Labsの開発した早産児用調合ミルクが深刻な腸疾患を引き起こしていたとして争われた裁判だ。
この訴訟に関係する医療記録は4万ページを超える膨大な量だったが、TorHoermanLawによるとSupioのプラットフォームのおかげで「素早く、かつ正確な」データ抽出が実現したという。
そんなSupioは、9月にシリーズAラウンドで2,500万ドルの資金調達を公表したばかり。ラウンド主導はSapphire Venturesが担い、既存投資家であるBonfire Ventures、Foothill Venturesが参加した。また、「急速に成長中のチーム」である同社は、AI運用アナリストやデータアナリストなど9件のポストで求人を行っている。
膨大な量のデータ整理・情報抽出が必要になる裁判
莫大なデータ群から自分側の主張に有利に働く材料を抽出したデータセットを弁護士が作成・提出する様子は、2019年公開の映画『ビリーブ 未来への大逆転』にも描かれている。
今は亡きアメリカ最高裁判事ルース・ベイダー・ギンズバーグを描いた本作で、若き日のギンズバーグと対立する弁護士が、国防総省の知人に掛け合って当時最先端のスーパーコンピューターを借りるというシーンだ。
過去の判例を数万件集めて必要な情報を抽出するといった作業は、人間の手だけではやはり限界に突き当たってしまう。そこでスパコンの出番となったわけだ。この構造は現在も変わらないが、作業効率化の最先端はやはりAI活用だ。AI技術の進歩とともに法務分野が飛躍的に革新されていくことに期待したい。