スペイン人と宝くじ

では、スペイン人は本当に宝くじを買うのか?友達や近所の人に聞いてみました。その中で圧倒的にコメントが多かったのがスペイン政府がやっているクリスマスの宝くじです。

昔から家族や職場の仲間で買うのが習慣になっていて、当選者の発表日は、朝からほとんどの家庭がテレビやラジオでその中継を聞いていたほど。面白いと思ったのは職場や家族で同じ番号のくじを買うこと。

そうすれば、当たった時はみんなで喜ぶことができて、自分だけ当たって皆に羨ましがられすぎて問題が起こることもありません。

クリスマスの宝くじは、コマーシャルもいつも素敵。インターネットで2021年のものを見つけましたのでリンクを貼っておきます。

スペイン語が分からなくても、あらすじがわかりますが、ある雪深い田舎の村のある家にクリスマスカードが届きます。

中には1枚の宝くじが入っていて、「親愛なるお隣さんへ もしこの宝くじが当たったら私が大切にしている皆さんと一緒にお祝いできるという幻想ほど、私をわくわくさせるものはありません。

「メリークリスマス!」 と書いてありますが、差出人の名前がありません。なんて素敵なカードなんだろうと思った夫妻は、近所の人に同じことをすると、その輪が広がっていきます。

クリスマス宝くじは1枚20ユーロと少し高額なので、色々な団体が主催する宝くじの参加券が売られています。参加券は、3ユーロほどで、そのうち0.5ユーロをその団体に寄付するというもの。

スペインの宝くじonce(オンセ)
(画像=『たびこふれ』より引用)

そのほかにも、旅行のお土産に宝くじを買ったり、久しぶりに会った友達と共同で宝くじを買ったり、何かと、宝くじはスペイン人の暮らしの中にあるようです。(観光地のレストランで売られているクリスマス宝くじ。お土産に買う人がいるのでしょうか?)

スペインの宝くじonce(オンセ)
(画像=『たびこふれ』より引用)

宝くじ当選者経験談

では、そんなにメジャーな宝くじ。実際に当たった人はいるのでしょうか。

友だちに一人います!彼は1999年、まだユーロ通貨に統合される前ですが、今のユーロ貨幣にすると400万ユーロ(日本円で6億円4000万円ほど)を手にしました。

当時、史上5番目の大金だったようです。スペインにはOnceや国営のくじ以外にもさまざまな宝くじがありますが、彼が買った宝くじはカタルーニャ州の宝くじ。好きな数字を10個選ぶものだったので、彼は自分の住所に出てくる数字+年齢+車のナンバーを入れたそうです。

その後、ラジオで、「同じ村の売店で買ったくじが当選した」と聞いた時、期待が裏切られるのが嫌で、当選番号をわざわざ聞かなかったそうです。

「2週間たっても、当選者が現れないらしいよ」という噂を聞き、おそるおそる当選番号を聞いたところ、見事当選!6億円以上の大金を得て何をしたかというと、まず、赤字が続いていた父親が始めた家業の借金を払い、工場を閉じて従業員に通常以上の解雇手当を払い、さらに兄弟5人に60万ユーロ(日本円で960万円くらい)を配りました。

その後は好きな仕事をしながら、しっかり年金をかけ、当選から30年以上がたった今も、宝くじの恩恵を受けた暮らしをしています。

90%以上の宝くじの高額当選者が、「5~7年で、当たる前より幸福度が落ちる」という統計があるようですが、彼は家族の幸せを一番に考えて行動できたからでしょうか、今も幸せに暮らしています。

「宝くじに当たったことで、何かにつけて、自分がラッキーな男だと思えることがうれしい。そしてその幸運を本当に感謝できることが嬉しい」というコメントが心に残りました。

今回は、スペインの宝くじについてお伝えしました。障碍を持った人が活躍できて、支援にもなる宝くじの存在や、家族や職場の仲間と喜びを共有できる宝くじの買い方など、素敵ですよね。

「この宝くじがもし、あたったら。」という期待は、毎日の生活にうるおいや、みんなでワクワクを共有する一体感を与えてくれます。スペインを訪れた際には、Onceの宝くじをぜひ気にしてみてください。

スペインの宝くじonce(オンセ)
(画像=『たびこふれ』より引用)

こちらは毎週金曜日に抽選が行われる宝くじ。一等賞は600万ユーロ。当たりますように。

文・写真・IZUKAWAUSO/提供元・たびこふれ

【関連記事】
避暑地アッター湖で、クリムトセンターと「クリムトの庭園」を訪ねる
ベルリン郊外に残るベルリンの壁跡地でハイキングやサイクリングを楽しむ
高速列車「あずま」で東海岸を行く、ロンドンーエディンバラ間鉄道の旅
【北海道】異国情緒溢れる街・小樽に行ったら、たくさんの笑顔に溢れていた。
ハワイ・ハレイワタウンでランチをするなら?食べたい内容別のおすすめ5店を紹介