人手不足で仕事を選ばなければ、誰でも正社員になれる今とは労働環境はかなり異なる事実はあったのだ。
氷河期の逆風で強くなった氷河期は厳しい時代だったが、だからこそその逆風で強くなった人や企業もいた。
たとえばトヨタは、バブル崩壊後のデフレ時代でも逆風に負けず世界市場で競争力を維持。コスト削減や効率的な生産体制を追求し、1990年代末からハイブリッド車「プリウス」を発売して高い燃費性能が受けて大ヒットした。
楽天は1990年代末のデフレ期に誕生した企業だ。実店舗の経営が厳しくなる中、デジタル分野にシフトし、消費者の購買習慣がオンラインに移行する中で成功を収めた。
人間も同じだ。手前味噌でおこがましいようだが、自分自身がそうだ。簡単には就職できないからこそ、労働市場で勝てる立ちふるまいを研究し、「ビジネスは徹底的に”採用者側の立場で考える”ことが最重要」という理解にたどり着いてからは、履歴書の通過率は飛躍的に高まり、採用面接で落ちることがなくなった。また、不況時でも高い専門性を持って希少なプロフェッショナル人材になれば仕事に困ることはないと考え、米国会計の専門家としてキャリアを積んでなんとか厳しい就職戦線を勝ち抜くことができた。
自分の場合はあくまで結果論であり、不況の中でも運に恵まれたこともあったが、自分は不況に育てられ、強くなったと思っている。それまでの人生で親や教師、友達から教わったどんな学びよりも、不況で生き残るために頑張った経験は自分を強くした。
不況での達振る舞いがわかれば、いざ景気が良い局面なら正直、イージーゲームである。自分はリーマン・ショック後の就職で大変苦労したが、そこから数年後の転職ではあまりにも簡単にポンポン転職内定がもらえるので「不況と好景気でこんなにも難易度が変わるものなのか」と驚いてしまった。
氷河期世代への反発の声世の中には氷河期世代への反発の声もある。「いつまでも時代が悪かった!と怨嗟の声を轟かせ、被害者意識が強いのはどうか?」といった意見である。