「なんとかして相手の気持ちを元に戻そうと、『私は大丈夫』と自分に言い聞かせ理解ある人になろうとしたり、相手の喜ぶことを必死で考えて、プレゼントを贈ったり、料理を作ったり、あれこれと手を打ちます。がんばって行動したにもかかわらず、状況は変わりません。すると不安は『怒り』に変わるのです」(神谷さん)

感情とは一体何者か

あなたが、ある商談のプレゼンに向かうためタクシーに乗った。「よし、やるぞ」と気持ちを高め、気合を入れて会社を出た。しかし、運転手がネガティブだった。「景気はどう、よくないでしょう」から始まり、「友達もリストラされて大変」「ノルマは厳しい」。訪問先に着くころには、高揚していた気持ちはすっかり沈んでいた。

結果的に、その日のプレゼンは大失敗。感情のエネルギーをすっかり運転手さんに奪われてしまい、短時問では感情を調整し高めることができなかった。こういったタイプの人はどこにでもいるものだ。きっと一人や二人は思い当たる人がいるだろう。

一方、話すと気分がよくなり、元気を与えてくれる人もいる。会うとホッとし、話すほどに元気がわいてくる人だ。彼らはいったい何か違うのか。実は、一番の違いは使っている「言葉」にある。「明るい言葉」は自分の気持ちを明るくし、周囲を明るくすることができる。この機会に感情について考えたいものである。

尾藤 克之(コラムニスト・著述家)

2年振りに22冊目の本を出版しました。

「読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)