ところで、バチカンニュース(独語版)は15日、フランシスコ教皇の「中国との対話に満足している」という発言に対し、「キリスト教的現実主義の表れ」と解釈し、バチカンと中国共産党政権間の暫定合意への批判に反論を呈し、暫定合意後のバチカンと中国共産党政権との歩みを紹介している。

暫定合意以降、①中国のカトリック教会の全ての司教はローマ教皇と完全に一体化し、教皇の合意なしでの司教叙階はなくなり、1950年以降、愛国会系とバチカン系の教会信者間の分裂も解除されてきた、②過去6年間で中国では9人の新しいカトリック司教が叙階された。同期間中に、過去に中国当局が定めた手続き外で叙階された「非公式」の司教8人も北京の政治当局から承認された、③中国から2018年と2023年に2人の司教がローマで行われた司教会議に参加した。そのほか、中国本土からカトリック信徒のグループがリスボンでの世界青年の日に参加し、教皇と直接対面した。また、複数の中国の司教がヨーロッパやアメリカでの会議や教会の共同体の集いに参加する機会も得た、等々だ。

バチカンニュースは最後に、「政治的および社会的にさまざまな制約があるにもかかわらず、中国の教会生活は通常通り続いている。長年の不確実性と分裂の後、安定を取り戻した教区もあり、その変化は聖座と政府当局との対話によってもたらされた」と総括し、暫定合意の意義を強調している。

フランシスコ教皇は、中国のイエズス会士とのインタビューで、中国を訪問したい意向を表明し、中国で司教や神の民に会いたいとも述べ、「彼らは多くの困難を乗り越え、忠実であり続けている。中国の全ての人々は忍耐の名人であり、彼らは希望のウイルスを持っており、それはとても美しいことだ」と語っている(バチカンニュース2024年8月9日)。

なお、パロリン枢機卿は「教皇は確かに中国を訪問する準備ができているし、訪問を望んでいるが、今のところ、教皇の願いを実現する条件が整っているとは思えない」と指摘、近い将来のフランシスコ教皇の北京訪問はないと述べている。