カナダで雇用をし続ける中で便利だと思ったのが3か月の試用期間という制度です。日本にも試用期間制度はありますが、根本的に意味が違います。カナダの場合はどんな事情でも労使ともに雇用関係を解消することが許容されているのに対し、日本は雇用条件や勤務評定に限定され、仕事ができないことを理由に解雇はできないと理解しています。
この3か月の試用期間は恋愛でいう「同棲期間」と考えてよいでしょう。お互い、一緒に住んでみて双方もう少し知ろうじゃないか、と。それでいいのです。会社は何が何でも雇うことが義務付けられているのではないのです。会社に貢献してくれるなら高い給与を払うという覚悟があるのです。
カナダでいろいろな方と話をしていると「ちゃんと仕事しないとクビになるので」ということをよく聞きます。スタッフレベルなら上司に言われたことを必ずこなすことでしょうし、マネージャークラスなら責任範囲の業務をどう取りまとめ、会社に貢献できたかを数字などで示すことが求められます。また顧客には「本日のサービスはどうでしたか?」というアンケートが頻繁に来ます。顧客が辛辣なコメントを書くとその従業員には罰点がつきます。つまり極めて高い緊張感の中で仕事をすることを求められます。その代わり給与も高いと思います。
日本で解雇ができる制度を取り入れるべきかという議論はいずれ避けて通れなくなります。理由は少子化で従業員が足りない事態になるので雇用の流動化を促進させ、リスキリングを含めた時代にマッチした能力と人材を適材適所として備えることが必要になるからです。例えば日本にはマスコミという名のもと、記者やフリーランスの物書きが非常に多く、安い報酬で一生懸命書いています。そのため、奇をてらいたいのか、功績を挙げたいのか、記者会見ではヤクザもどきの脅しをするような記者も目立ちます。私から見ればマスコミが多すぎる、よって薄給で雇われる物書きも多すぎる、だから記者会見は荒れ、品のない二流記事が蔓延するのです。ならば彼らをリスキリングでもっと違う世界にいざなうのはどうでしょうか?