ホンソメワケベラが鏡に映る自分を理解するプロセスは、チンパンジーやゾウなどの他の動物たちと一緒でした。
彼らはまず、鏡に映った自分の姿を同じ種の別個体とみなし、攻撃行動を繰り返します。
しかし、しばらくすると鏡の前で像の観察を繰り返したり、自分の体を調べたりし始めて、「これは自分だ!」と認識できるようになるのです。
このときの実験では、ホンソメワケベラの喉にマークをつけ、それを鏡で確認したホンソメワケベラが砂や石に喉をこすりつけてマークを落とそうとしたことから、鏡像を自分だと理解していることがわかりました。
さらに研究チームは、ホンソメワケベラが鏡像を単に自分だと認識するだけでなく、より複雑な認知行動を遂行するための「道具」として使えないかどうかを検証することにしました。
鏡の中の自分を基準に「喧嘩を売る相手」を選んでいた!
ホンソメワケベラには、環境下で見知らぬ同種個体が近づいてくると、自分の縄張りを守るために攻撃をして追い払う習性があります。
ただ無闇に喧嘩をふっかけているとケガをするリスクもあるので、明らかに自分より大きな相手との喧嘩は避けることが知られ知恵ます。
そこでチームはこの習性をヒントに、「ホンソメワケベラが自分の鏡像を情報源として利用し、攻撃する相手を選別できるかどうか」を検証してみました。
実験ではまず、本物のホンソメワケベラ1匹を水槽の中に入れます。
水槽の一方の壁には「鏡」が設置してあり、自分の姿を確認できるようにしました。
反対側の壁には、水槽に入れたホンソメワケベラより「体長が10%大きい個体」「体長がまったく同じ個体」「体長が10%小さい個体」の3種類の写真を実験ごとに貼り替えます。