近年、世界の航空業界は深刻な人手不足問題に直面している。特にパイロット不足の影響を受ける可能性が高いのはアジア太平洋地域だ。2029年には同地域で世界最大のパイロット不足が見込まれると予測されており、約22,000人のパイロットが必要になるという。

そこで今、パイロットの育成機関である各地の航空学校では、訓練のためにより多くの航空機が必要とされている。しかし、航空機はメンテナンスが難しく、運用コストが高いという課題を抱えている。

そんななか、米国コロラド州デンバーに本社を置くBye Aerospaceは、費用対効果が高い固定翼航空機「eFlyer」シリーズを開発。今年9月に、電動航空機である「eFlyer 2」の製造を正式に開始したと発表した。

飛行訓練向けの2人乗り電動航空機「eFlyer 2」

eFlyer 2は、飛行訓練のニーズを満たすために特別に設計された2人乗りの航空機だ。電動式のためAVGASやオイルのコストがかからず、運用コストを80%、メンテナンスの必要性を最大75%削減する。

空力効率は、同じサイズの一般的な従来の航空機の2倍以上。推進システム全体の効率が高い(冷却抵抗が低くモーター効率が高い)のもポイントだ。

高い回転耐性を持つように設計されているほか、緊急パラシュートが搭載されているなど、安全性も強化。初心者パイロットや経験豊富なパイロットに対して、安全な操縦を保証している。

航空関連メディアのAviation International Newsによると、eFlyer 2はバッテリー電気推進システムにより排出ガスがゼロで、従来のエンジン練習機よりも騒音が少ないという。航空学校やその周辺地域にとって理想的な選択肢となるだろう。

eFlyer 2の初号機を製造開始

Bye Aerospaceは、2014年に設立された米国の航空機メーカー。飛行訓練用の航空機をはじめとする電気飛行機の設計・製造を専門としている。