マドゥロ氏にとって、ゴンサレス氏を出国させれば邪魔者をひとり退治したことになる。またゴンサレス氏も今更民主化への戦いを続ける意志はもうないはず。そこで、ベネズエラ政府はゴンサレス氏のスペインへの亡命を容認した。その代り、スペイン国内でベネズエラの民主化への表立った政治活動はしないという密約が交わされたものと思われる。

9月5日、ゴンサレス氏はオランダ大使館からスペイン大使館に移動した。そしてシモン・ボリバル空港にはスペイン海軍の軍用機が待機していた。それに搭乗したゴンサレス氏はサントドミンゴの空港で給油した後、マドリードのトレドン・デ・アルドスにある空軍基地に向かったのである。

マドリードに到着してからゴンサレス氏はベネズエラの民主化の為に戦うと表明してはいるが、ベネズエラの民主化を望んでいる人たちへのこれは外交辞令でしかない。もう彼は政治舞台から退いた人物でしかない。立候補する前の悠々自適な生活に戻ったのである。

したがって、ベネズエラで民主化の為に戦っている多くの市民は唯一の救世主マリア・コリナ・マチャド氏に亡命しないで欲しいと願っているのである。彼女がベネズエラを去れば民主化への道は閉ざされることになるからだ。