独裁者が政権を長く維持したいのであれば、マドゥロ氏のように司法を支配下に置くことである。

そこでマリア・コリナ・マチャド氏が白羽の矢を立てたのがゴンサレス氏であった。マチャド氏とゴンサレス氏の二人三脚による選挙キャンペーンは順調に進んだ。その成果が出て、選挙で勝利もした。勿論、マドゥロ氏は自らが勝利したと宣言したが、今になってもその開票結果を公式に発表していない。

マドゥロ大統領にとって次に邪魔な人物はマリア・コリナ・マチャド氏だ

マドゥロ氏が政権を継続させるためにやるべきことは一つしかない。対立候補に罪を着せて刑務所に送るか、圧力を加えて国外に亡命させることである。

ゴンサレス氏がスペインに亡命した今、マドゥロ氏が次に狙っているのが民主化への活動の中心人物になっているマリア・コリナ・マチャド氏だ。彼女を刑務所に送るか、あるいは外国に亡命させるのがマドゥロ大統領の狙いだ。

しかし、彼女の場合は事態は容易ではない。民主化を望んでいる多くの国民を敵に回すことになり、欧米を始め世界からマドゥロ大統領への圧力がより一層強いものになるのは確実であるからだ。

ゴンサレス氏にとって大統領になるための戦いは終わった

ゴンサレス氏のスペイン亡命についての話題に戻すと、彼は選挙で勝利したあと独裁者からの圧力が強くなった。そこで彼はカラカスのオランダ大使館に7月29日に身柄を預けた。そこでの生活が9月5日まで続くのであった。同大使館で生活している間に亡命することを考えていたようである。

彼にはベネズエラに残って自らの命と引き換えに民主化の為に戦う意欲はもう無くなっている。もともと、彼はこれまでベネズエラの民主化の為に戦って来た活動家ではないということや、75歳という高齢になって、今更自分の命を犠牲にする意志は毛頭ないというのが彼の本音であろう。

だから、スペインの元首相で独裁者マドゥロ氏の大使のような役目を担っているサパテロ氏が登場するのである。サパテロ氏はマドゥロ氏があたかも善人で、彼が行っている現在の孤立した政治は特に米国からの不当な圧力のせいだとしてマドゥロ氏を犠牲者のように仕立てて活動している。だからサパテロ氏がスペインのサンチェス首相とマドゥロ大統領の間に入って、ゴンサレス氏のスペインへの亡命の可能性の交渉に入ったようだ。