また観測された「単語」の数は合計で50種類に及ぶものの、最も頻繁に使われる「単語」はそのうち15~20種類であり、長い単語ほど使われにくい傾向にあることが判明します。
人間の言語にも複数の単語があるものの、日常会話で使われるものは短く簡素なものに限られています。
もしかしたら菌類たちの言語もよく使う「単語」とそうでない「単語」があるのかもしれません。
では、菌類ごとに「単語」や「文」の複雑さに違いがあるのでしょうか?
「スエヒロタケ」は最も複雑な「文」を作るキノコだった
今回の研究で調査対象となった4種類の菌類は、食用にもなる「エノキタケ」、南極以外のほとんどに生息する「スエヒロタケ」、冬虫夏草の一種である「サナギタケ」、発光キノコの一種である通称「幽霊キノコ (Omphalotus nidiformis)」でした。
研究者たちが電気活動の分析データを比較したところ、最も複雑な「文」を作るのがスエヒロタケであり、次いでサナギタケであることが判明します。
また「文」の複雑さは菌の種類を予測できる因子でもありました。
菌類たちが異なる「文」を生成する原因として研究者たちは、種によって異なる「方言」を持つからであると述べています。
今後、研究者たちは種間の「方言」の違いや文法の解釈法を調べるとともに、分析方法の最適化を行っていく、とのこと。
もしこれらが解明されれば菌類の文法構造や構文、単語の意味が解明され、菌類の言語を解読できるかもしれません。
また重要な点として、菌類がネットワークと電気信号で情報処理を行っている場合、菌類は体全体に脳としての働きがあることになります。
だいぶクレイジーな主張にも聞こえますが、SFでは菌類が作るネットワークに知性が宿るという設定もよくみられます。
もしかしたら、そこにはある程度の真実が含まれているのかもしれません。