知人の説明は説得力がある。当方が住むウィーンでもこの夏から9月初め、日中は34度まで気温が上がった。その数日後の12日には気温は10度に急落した。気温が24度も下がったのだ。われわれは人間が気温の変化にどれだけ耐えられるかを実験されているような状況にある。先の知人は「2、3日前まで異常な暑さで服も体も汗でびっしょりになったし、今日は大雨で服がびしょ濡れだ」と説明した。

ウィーン市当局は12日、警戒情報を発し、「不要な外出は避けて下さい。来週初めまで大雨が降る可能性があります」と警告し、週末に開催予定だったイベントは危険ということで中止を要請している。

ところで、ロシア軍が侵攻し、多数のウクライナの民間人が殺害されている。それに対抗するためコメディアン出身のゼレンスキー大統領はロシア軍への対応で四苦八苦している。同大統領は「自分には昔のように週末は無くなった。毎日が月曜日だ」と語った。そのゼレンスキー氏の嘆きを真似ていうならば、オーストリアを含む欧州の人々にとって、毎日が「13日金曜日だ」といった気分だろう(「ゼレンスキー大統領『毎日が月曜日』」2022年8月17日参考)。

駐オーストリアの日本大使館領事部は12日、大雨洪水警報のメールを発信、「9月12日(木)から9月16日(月)まで、ウィーン州を含むニーダーエスタライヒ州、ブルゲンラント州北部に、大雨洪水警報がでています。不要不急の外出は控え、河川流域に近づかないように呼びかけています。最新の情報を入手し、浸水、地滑り、土石流等にご注意ください。万が一、日本人が被害に遭われたとの情報をお持ちの方は、日本大使館までご連絡をお願いいたします」と緊急連絡を送信した。

音楽の都ウィーン市はニーダーエステライヒ州、シュタイヤマルク州、ケルンテン州などと違い、大雨や洪水は少なく、年中、比較的安全な都市だった。それだけに、この夏、何週間も猛暑と熱帯夜が続き、ここにきて1カ月分の雨が一度に降り出した。気温は急落し、一部では初雪が降ったというのだ。人間の世界だけではない。路上の鳩たちも強風と大雨を恐れ、屋根の棲家に一斉に避難している。鳥や動物たちも異変が差し迫っていることを感じているのだろう。