スペア・テクノロジーソリューションズのウェブサイトを見ると、その後同社のプラットフォームの利用例は順調に増えており、今年に入ってからは徳島、三重、山梨、静岡、福岡、宮崎で導入されているとある。
過疎化などでバスの路線が廃止されたり、特殊な免許を必要とするバス運転手が足りなかったりするなど、公共交通の維持については日本各地で問題に直面しているが、そうしたなかでオンデマンド乗合交通は“地域の足”の維持に貢献しているようだ。
高齢化社会で予想される需要増
Spareは世界各地でのプラットフォーム提供に加え、今回調達した資金で身体が不自由な人向けのオンデマンド交通にも今後注力していくとしている。高齢化が進むにつれ、効率的でフレキシブル、そしてニーズにすぐさま対応できる交通ソリューションが一層求められるようになるとの考えが背景にある。
確かに、加齢や病気などで身体に不自由を抱え、公共交通機関の利用や車の運転が難しい場合、遠くまで外出するのは困難だ。家族や友人による送迎や、タクシーなどに頼らざるを得なくなり、外出を諦めることもでてくるだろう。
Spareの共同創業者で最高経営責任者(CEO)のKristoffer Vik Hansen氏はシリーズB完了の発表文で、交通を一層アクセスしやすいものにすることを社の使命に挙げている。実際、体が不自由な人や高齢者も含め、皆にとって使いやすく、安価なオンデマンド乗合交通がある社会は理想だろう。今回のシリーズBはテック企業などを専門とするカナダのベンチャー・キャピタルのInovia Capitalが主導した。2019年のシードラウンド(600万ドル)は三菱商事がリードしている。
(文・Mizoguchi)