国民に12桁の番号を割り当てたマイナンバー。日ごろあまり意識することはないが、投資家なら必須だ。主に銀行や証券などで口座を開設する際や、3月の確定申告などで必要になる。どのような場面で必要なのか、もしカードをなくした場合はどうしたらいいのか、など投資家にとっておさえておくべきマイナンバーの知識を整理しよう。
マイナンバーとは 主な目的な3つ
マイナンバーが施行されるまで、行政はそれぞれの機関が独自の管理IDを国民に割り当てて運用していた。これを一元管理して同一の管理ID(マイナンバー)で運用することにより、行政機関が国民を識別しやすくなり、よりスムーズに行政サービスを提供が可能となる。
マイナンバー制度は主に「社会保障」「税制」「災害対策」の3つに対して利用されると決められている。そのため、それ以外の用途にマイナンバーが使われる心配はない。つまり、第三者や調査期間がマイナンバーから個人情報を閲覧することには利用できないということだ。
「国民総背番号制度」などといわれることもあるが、似たような制度はアメリカやイギリスではすでに導入され、運用されている。
税制面でマイナンバーに期待される役割
マイナンバーには所得隠しによる脱税行為をさせない、しにくい環境を作ることで税金の不平等をなくすことが期待されている。
投資関連で必要とされるマイナンバーは、3つの用途の内「税制」に利用されるものだ。マイナンバーの大きな目的の1つに「国民の正確な所得の把握」がある。所得がある人は税金を納める必要がある。これは国民の義務である。
しかし、中には所得を申告せずに課税を逃れる人もいる。いわゆる脱税行為だ。これは国の税収に大きく関わってくることであり、国税庁としては申告しない人だけが得をするような不平等は無くしていきたいと考えている。そこで期待されているのがマイナンバーだ。
以前までは、誰がどこの金融機関にどんな口座を持っているのかということを調べるのは容易ではなかった。証券会社や金融機関で利用される口座にマイナンバーをひも付けることで、誰にどの程度の所得があったのかを把握できるようになるのだ。
投資家にマイナンバーが必要なタイミング
では、投資家にとってどんなタイミングでマイナンバーが必要になるのか。主に考えられるのは以下の3つだ。
・口座開設(銀行・証券会社)
・確定申告
・不動産売買や賃貸
口座開設
株式やFX、投資信託など、証券会社や銀行で口座を新たに作るときはマイナンバーの提示が求められる。
・総合取引口座
・未成年口座(口座名義人のもの)
・NISA口座
・ジュニアNISA口座(未成年のもの)
・FX口座
・先物・オプション取引口座
・eワラント取引口座 など
いろいろあって複雑に感じるかもしれないが、要するに金融取引を行うための口座を新規で開設する際にはマイナンバーの提示を求められるということだ。
マイナンバー制度が施行される以前に開設されている口座についてはどうだろうか。この場合、口座の種類で扱いが異なる。
・銀行の預金口座
2018年1月以降に銀行から順次マイナンバーの提出を求められる。
・銀行、証券会社の証券等取引口座
2019年12月末までにマイナンバーの提出が必要。
気づいた人もいるかもしれないが、預金口座と証券等の取引口座で表記に違いがある。預金口座ではマイナンバーの提出は求められるものの必須ではないのに対し、証券等取引口座ではマイナンバーの提出は必須だ。
銀行取引
銀行でも取引内容によってマイナンバーの提示が必要となることがある。
・投資信託や債権(公共債)などの証券取引全般
・財形貯蓄(年金・住宅)
・マル優・マル特
・信託取引(金銭信託など)
・外国送金(支払・受け取り)など
銀行でも株や投資信託など金融取引をする場合はマイナンバーの提出が義務付けられている。また海外送金や受取の場合は2018年12月末まではマイナンバー無しでも送金が可能だったが、2019年1月からはマイナンバーの届け出が必要になっている。
海外送金や受取の予定があるのであれば早めに手続きをしておいたほうが良いだろう。
確定申告
通常、会社員であれば所得申告は年末調整ですべて済んでしまう。しかし、副業で投資をしていて、年間20万円以上の所得がある場合には確定申告が必要となる。もちろん、投資だけで生計を立てているのであれば確定申告が必要だ。
確定申告は白色申告、青色申告どちらもマイナンバーが必要となっており、扶養家族がいるのであれば家族のマイナンバーも必要。ギリギリでマイナンバーが見つからない、分からないと慌てる前に家族のマイナンバーは把握しておいたほうが無難だろう。
不動産の売買、賃貸契約時
個人が不動産投資をしている場合にも以下の場合にはマイナンバーを取引相手に提出する義務がある。
・売却:同一の取引先からの売買代金の受取額の合計が年間100万円を超える場合
・賃貸:同一の取引先からの家賃・地代などの受取額の合計が年間15万円を超える場合
取引先は受け取ったマイナンバーを「不動産等の譲受けの対価の支払調書」や「不動産の使用料等の支払調書」などの法定調書に記載、税務署に提出する義務がある。
ちなみに、マイナンバーの収集は外部の業者に委託することが法律で認められている。第三者がマイナンバーの提出を求めてきた場合は、その業者が取引先から委託されているということをしっかり確認してからマイナンバーを提出しよう。
マイナンバーの提出方法
マイナンバーは銀行や証券会社によって異なるが、一般的には店頭に出向いて提出する。用意するものは以下の3パターンだ。メガバンクの例を見てみよう。
パターン1
・マイナンバーカード
パターン2
・通知カード+顔写真付きの身分証明書(運転免許証、運転経歴証明書(平成24年4月1日以降交付分)、パスポート、療育手帳、在留カード、特別永住者証明書)
パターン3
・通知カード+顔写真無しの身分証明書2枚(各種健康保険証、年金手帳、児童扶養手当証書、特別児童扶養手当証書、印鑑証明書(発行後6ヵ月以内のもの)、民票の写しまたは住民票記載事項証明書(発行後6ヵ月以内のもの))
もし通知カードがない場合にはマイナンバーが記載されている住民票の写しでも代用が可能だ。しかし、せっかく役所に行くのであれば通知カードの再発行をしたほうが後々便利だろう。
時間に余裕があるのであれば、マイナンバーカードを作ってしまったほうが良い。今後提出を求められた場合でもマイナンバーカード1枚あれば事足りるようになる。
銀行や証券会社によっては、パソコンやスマートフォンの専用アプリからマイナンバーカードや通知カードを撮影してアップロードする方法も用意されていることがある。わざわざ店舗に出向かなくても提出が完了するので便利だ。
マイナンバーが用意できないときの対処法
さまざまなタイミングで提示を求められるマイナンバーだが、通知カードやマイナンバーカードを何らかの理由で紛失した場合はどうすれば良いだろうか。
通知カードまたはマイナンバーカードを紛失したら
マイナンバーを提出しようにも、通知カードをなくしてしまって番号すら分からないという場合、まずは通知カードの再発行手続きが必要になる。再発行は市区町村で行っているので役所で申請手続きを取る。
たとえば、横浜市の場合は再発行申請に必要な書類は以下のとおり。
・本人確認書類
1枚で済むもの:運転免許証、パスポード、住民基本台帳カード(顔写真付き)、身体障害者手帳など
2枚必要なもの:健康保険被保険者証、介護保険被保険者証、年金手帳、生活保護受給者証、社員証、学生証など
・通知カードの紛失・消失等を証明する書類
自宅外で紛失の場合:警察署で遺失物届を行い、警察署の連絡先と受理番号
自宅内で紛失の場合:「通知カード再交付申請書」に、紛失の経緯を記入
消失の場合:消防署または市が発行する罹災証明書
・交付手数料:500円(通知カード)1,000円(マイナンバーカード)
・顔写真(マイナンバーカードの場合のみ)
マイナンバーを提出しないとどうなる?
証券会社は所得税法などによってマイナンバーの提出を義務付けられている。 そのため、証券会社では新規開設時にマイナンバーの提示を求められてそれを拒否した場合、口座の開設はできないと明記されている。
開設済みの口座については2019年12月末までに提出されない場合について明確に規定を設けている証券会社はない。しかし、楽天証券や三井住友銀行では「取引を制限する場合がある」と言っていることからもマイナンバーを提出しないとトラブルになる可能性は否定出来ないだろう。 日本証券業協会によると、 2022年1月1日以後最初に株式・投資信託等の売却代金や配当金等の支払を受ける時までにマイナンバーの提供が必要になる。
銀行についてはマイナンバーの提出は「任意」となっており、提出を求められても拒否することは認められている。とはいえ、行政側としては「国民の正確な所得の把握」という本来の目的のためにも預金口座とマイナンバーの紐付けを強く望んでいるのも事実だ。将来的には銀行でもマイナンバーの提出が義務付けられる可能性はあるだろう。
銀行や証券会社などのマイナンバーの管理方法
マイナンバーを提出するのは良いが、果たしてどのように管理されているのだろうか。銀行や証券会社などの取引先がマイナンバーを取り扱う場合、マイナンバー法12条によって安全管理措置というものが定められている。
また、マイナンバーは法令で定められている目的以外で第三者が個人情報の提供を行政機関に求めたり、他人に提供したりすることは禁じられている。違反した場合には厳しい罰則が設けられている。取引先が悪用したりするようなことは無いので安心してほしい。
投資のためにはマイナンバーは必須
税金を支払うのは気が進まないかもしれないが、納税は義務。税務署に怪しまれて証券会社から提出されている調書と確定申告のマイナンバーを照合すれば一発で所得の不一致が発覚することになる。脱税の時効は5年、発覚すればまとめて追徴課税されるケースもある。
先述したように政府は預金口座へのマイナンバーの紐付けの義務化を検討している。マイナンバーが預金口座にまで義務付けられれば個人のお金の出入りはほぼ把握が可能になる。2018年からは預金口座へのマイナンバーの提出呼びかけが始まった。2016年にスタートしたマイナンバー制度は第二段階に移行したとも言えるだろう。
文・MONEY TIMES 編集部
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