確かに自民党の党規律規約では、(1)除名(2)離党勧告(3)党員資格停止(4)選挙での非公認(5)国会・政府の役職辞任勧告(6)党の役職停止(7)戒告(8)党則順守勧告という8段階の処分が予定されており、その中の4番目として、「非公認」も含まれている。

しかし、それは、党紀委員会の審査の対象とされた事実について、適切と判断された処分が選択されたということであり、既に述べたように、そのような前提事実で党紀委員会の処分を決定したことが国民に理解されていないのであるから、新総裁が、その処分だけでは国民の理解が得られないと判断した場合に、その点について、対象議員に説明を求め、その説明が尽くされない、或いは、説明困難なことがある、ということであれば、総裁として公認を再検討する余地があるのは当然である。

結局のところ、党紀委員会で「非公認」の選択肢も含めて検討した結果「非公認」の処分が行えなかったので、その件に関して公認の見直しはあり得ないという高市氏の主張は全く通る余地はない。

高市氏が、なぜ、このような理屈を持ち出してまで、裏金議員の公認見直しを否定しようとするのか。それは、現時点での総裁選の情勢が、仮に決戦投票に残った場合に、「裏金議員からの圧倒的な支持」を受けようとする思惑があるのかもしれない。

しかし、説明も十分にせず、納税の義務も果たさない裏金議員に対して「大甘」な対応のままでは、仮に総裁選挙を乗り切ったとしても、選挙で国民の理解と信頼を得ることは困難であろう。