とされており、この「不記載」は、すべて会計責任者が行ったことで、議員本人は、「会計責任者に任せきりで不適正な処理としてしまった者の管理責任」だけが問題にされている。

しかし、実際には、そうではなく議員個人の用途に使われていたと考えざるを得ない事実も明らかになっている。

例えば、「裏金議員」の一人の堀井学氏が、資金管理団体の政治資金収支報告書に、安倍派から還流されたパーティー収入約1700万円を寄付として記載しなかった政治資金収支報告書の虚偽記入と、秘書らを通じて選挙区内の52人に香典計38万円や枕花(約23万円相当)を贈った公職選挙法違反(選挙区内の寄付)の罪で略式請求されたことだ(堀井氏は事件を受け議員辞職)。

この件について、堀井氏が派閥から受領した「裏金」を原資として香典等を有権者に渡していたと一部で報じられている。検察の起訴事実によると、「資金管理団体が堀井学を名義人として寄附をした」というのではなく、堀井氏自身が寄附の主体とされている。資金となった派閥からの裏金は政治団体ではなく政治家個人に帰属し、それを原資に香典等が贈与されたということになる。

たまたま明らかになった堀井氏の事件で、裏金が政治団体ではなく個人に帰属した疑いが濃厚になっているのである。それ以外の議員について、すべて政治団体に帰属し、個人に入った裏金は全くなかったと、どうしていえるのであろうか。

ところが、仮に、議員が、「裏金」を、秘書や会計責任者に委ねることなく自分の懐に入れていたという場合、上記の党紀委員会の処分では、「会計責任者に任せきりで不適正な処理としてしまった」とは言えないので処分を免れることになってしまうのである。

第三に、そもそも、「非公認」という処分も含めて、党紀委員会で検討の上、「非公認」より重い処分が5人に下されているので、新総裁に代わっても、裏金問題に関連して「非公認」にすることはできない、という高市氏の理屈も明らかにおかしい。