ところで、サプライズは討論会ではなく、別のところからやってきた。討論会直後、世界的人気の米国のポップスター、テイラー・スウィフトさんが「自分はハリスさんを支持する」と明らかにしたのだ。ポップスターといってもスウィフトさんの場合、その影響力は抜きんでている。トランプ氏にとっては残念なニュースであることは間違いない。フィルム、エンターテイメントの世界を主導するハリウッド界の圧力があったのだろうか。スウィフトさんを世界的スターにするためサポートしたのは両親であることはよく知られている。ポップスター・スウィフトさんの今回の発言が10日の討論会直後に発信されたのも、政治的な思惑が見え隠れする(「スウィフト・クェイク(地震)」発生」2023年8月1日参考)。

一方、トランプ氏にも大統領選に無所属候補として出馬していたロバート・F・ケネディ氏が先月23日、選挙戦から撤退表明し、トランプ氏支持を表明したばかりだ。ケネデイ氏を支持してきた有権者がトランプ氏支持に回れば、トランプ氏にとっては大きな支援だろう。

ちなみに、国際刑事裁判所(ICC)がウクライナ戦争での戦争犯罪者として逮捕状が発布されているロシアのプーチン大統領は5日、ウラジオストクで開催されている東方経済フォーラムの場で司会者から米大統領選について質問された時、「自分はカマラ・ハリス氏を支持する」と述べている。6日になると、米共和党のブッシュ政権で副大統領を務めたディック・チェイニー氏が「11月の大統領選で民主党のカマラ・ハリス副大統領に投票する」と明らかにするなど、異例な政治家のハリス支持が飛び出してきている。ハリス選挙陣営は大歓迎しているだろうか、それとも戸惑いを見せているだろうか、当方は後者ではないかと推測する。

参考までに、ケネディー氏、チェイニー氏、プーチン大統領、そしてスウィフトさんの一連の支持表明の中で選挙に最も影響を与えると見られているのが若い世代に圧倒的な人気のあるスウィフトさんのハリス支持だ。その点で多分、米国のメディアはほぼ一致しているだろう。トランプ氏陣営も舞台裏でスウィフトさんの支持を得ようと腐心していたのだ。