「私のスマホにズラリと並んでいるのは、綾野剛主演映画の記事や、発達障害に関する記事、声優に関する記事などです。見ているうちにどんどん覚醒してきます。起き抜けにニュースをチェックすることは、世の中の流れをつかむという意味で必要です」(中村さん)

「注意してほしいことは、ネットニュースを見終わったら、スマホを触るのを必ず辞めることです。決して、朝の忙しい時間にYouTubeなどを開いてはいけません。聞いたが最後、止まらなくなり、あなたはせっかくアラームの設定を見直してまで挑んだ朝の闘いに、無惨にも敗北してしまうでしょう」(同)

普通がむずかしいという話

中村さんは幼いころより体が弱く、癇癪や、過剰に集中し過ぎてしまう「過集中」、さらには物忘れがひどく大変な毎日を送ってきたそうです。大学受験では過集中がプラスに働き、偏差値40を70まで上げて志望大学(同志社大)に合格するも、入学後は華やかな学生たちに馴染めませんでした。

ところが、「過集中」がプラスに働いて、「声の世界」へはいることになります。ナレーターの道を勧められ、大学卒業と同時に現在の事務所に所属しました。ナレーターには高い集中力が必要とされますが、短所を長所として活かしながら活躍している点が興味深いところです。

発達障害を持つ人は、集中力を発揮したり、記憶したりといった、ほかの人にはない得意な能力も兼ね備えていることが多いのです。環境を調整し、上手に工夫して、苦手な部分を補うことができれば、その力をいかんなく発揮し、素晴らしい成果も残せます。

本書では、中村さんが数々のライフハックを公開しています。発達障害を持つ人たちが、周りとトラブルを起こすことなく、ミスを少なく仕事して、ストレスがたまらず、成果を出せる方法をこの機会に学びましょう。

尾藤 克之(コラムニスト・著述家)

2年振りに22冊目の本を出版しました。

「読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)