メタ分析の対象になったデータには、日本人のデータも含まれています。
分析の対象となった過去の研究は、「男性らしさ」を測定するためにいくつかの基準に基づきデータを得ています。
その11の基準には、勝利にこだわる、感情をコントロールする、リスクを取ろうとする、物事の解決には暴力が必要だと考える、物事をコントロールしたがる、性行為に積極的である、他人に頼らない、仕事を優先する、女性を支配しようとする、同性愛を軽蔑視する、社会的立場に価値を置く、がありました。
読者の男性のみなさんは、どのくらい上記の基準に自分が当てはまるでしょうか。
メタ分析の結果、「男らしさ」を求めている男性ほど、ストレス、抑うつ、不安、薬物乱用や自分の身体に自信がないなど、精神的にマイナスの影響があることが確認されたのです。
特に強い相関関係が見られた基準は、「性行為に積極的である」「他人に頼らない」「女性を支配しようとする」の3つでした。
なぜ「男らしさ」に拘るとこのような弊害が生じるのでしょうか。
これは「男らしく」あるべきという社会的なプレッシャーや涙を流すべきでないなどの感情の抑制、「自立すべき」という他者からのサポートを得ることが難しくなるなど、自分の感情や弱さを表に出すことが難しく、ストレスや不安を本人だけが抱え込えこみやすくなる結果だろうと考えられています。
「男らしさ」に拘ると早死にする
「男らしさ」を重視することのマイナスの影響は精神面の問題だけにとどまりません。
南フロリダ大のジョセフ・ダンデーロ(Vandello Joseph)氏らは、男性が女性よりも短命なのは、身体的構造以外に前出した「男らしさ」に対する態度も影響してるのではと考察し、調査を行っています。
彼らは2018年から2022年の4年間をかけて、62カ国の約34000名の大学生を対象に「男らしさ」に対する態度を調査し、各国の平均寿命との関係を分析しました。