世界を滅ぼす可能性のある小惑星が10年後に地球へ衝突するかもしれない――。これはあくまで仮説の話だが、もしもこんな恐ろしい警告が発せられたとしたら、世界はどうなるのだろうか?

 恐らく、すぐさま各国政府へ壊滅的な災害の可能性が伝えられ、一般市民への通知や対応策が協議されることになるだろう。そして1年後、世界中の期待を背負って、各国の宇宙機関が巨大な小惑星を軌道から外すために核ミサイルを発射するも、ミッションは失敗に終わる。刻一刻と衝突の時が迫る中、FEMA(アメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁)は、数か月前から影響が予想される地域での大規模な避難命令を発令。最後の数時間、全世界の人々は最悪の事態に備えることになるのだ。

 NASAはこのようなシナリオがすぐに現実になる可能性は低いと述べているが、今週、直径わずか3フィート(約1メートル)の小さな隕石が地球に接近し、フィリピン上空を通過した。発見されたのは、衝突のわずか8時間前のことだった。このように、警報を発するには至らなかったものの、アメリカ政府が2021年に発表した報告書では、165フィート(約50メートル)以上の小惑星が50年以内に地球に衝突する可能性がある場合には、調査ミッションが必要であると指摘されている。

 では、仮に地球滅亡レベルの小惑星が発見された場合、そこから衝突までの間に、具体的にどのようなことが起こりうるのだろうか。国際社会や人々は、どのように対応していくことになるのだろうか。

10年前「小惑星の発見」

 NASAの地上望遠鏡が巨大な小惑星を発見、他の天体との比較を行い、新たに発見されたものであることを確認する。NASAはカタリナ・スカイサーベイなど複数の早期警戒システムを運用しており、NEOWISE(近地球天体広域赤外線サーベイ探査機)なども活躍している。

 発見された小惑星については、天文学者がその明るさや動きを解析し、過去に知られていた天体ではないことを確認する。報告は小惑星、彗星、準惑星のデータを一元管理するマイナー・プラネット・センター/小惑星センター(MPC)に送られる。そしてMPCとNASAが連携し、小惑星の軌道を計算し、地球への衝突リスクを予測する。小惑星が地球に500万マイル以内に接近する可能性があると判断された場合、各国の宇宙機関に警報が送られる。