具体的には、アルテミスIIIの乗組員が月面を探査しながらリアルタイムで映像を撮影し、地球の管制官と通信できるようになるという。

月面環境と宇宙飛行のストレスに耐えうる通信システム

Nokiaは、2024年内に予定されている、米スタートアップIntuitive Machines社の月面着陸ミッション「IM-2」の一環として、月面に初のセルラーネットワークを展開する予定だ。Nokiaが開発した4G/LTE通信機能を月面に輸送し、地球上とは異なる月面環境で機能するかどうかを実証するものとなり、注目を集めている。

Nokiaの月面通信システム(Lunar Surface Communications System:LSC)は同社ベル研究所によって開発されたもの。この完全自律型LSCSは地上セルラーネットワークの無線、基地局、コアネットワーク要素を1つのユニットにまとめたボックスや、AxEMU宇宙服に組み込むデバイスモジュールのコンポーネント2つなどで構成されている。いずれも月面の環境条件と宇宙飛行のストレスに耐えるよう慎重に設計されており、サイズ、重量、消費電力が最適化されている。

月や太陽系をより深く理解するための一歩に

Nokiaは、1865年に設立されたフィンランド発の通信機器メーカー。約10年前の“ノキア・ショック”を経て以来復活を遂げ、モバイルやクラウドネットワークなどの通信サービスを手がけながら現在130以上の国で事業を展開。2023年の純売上高は223億ユーロにのぼる。

Image Credits:Axiom Space

今回Nokiaと提携したAxiom Spaceは、有人宇宙飛行サービスのプロバイダーであり、有人対応宇宙インフラの開発企業。ISSへのエンドツーエンドのミッションを運用するとともに、ISSの後継機としてNASAに採用された民間初の宇宙ステーション「Axiom Station」の開発や、次世代宇宙服の製造を行っている。