ショルツ連立政権の社会民主党(SPD)、緑の党、自由民主党(FDP)の3党は1日の2州の議会選で惨敗したばかりだ。緑の党はテューリンゲン州で議席獲得に必要な得票率5%の壁をクリアできず得票率3.2%で惨敗、SPDはテューリンゲン州6.1%、ザクセン州7.3%と一桁台の得票率に留まった。国政連立3与党の得票率はテューリンゲン州で9.3%、ザクセン州で12.4%に過ぎない。東独地域ではショルツ政権は完全にその政治的影響力を失っている。

ブランデンブルク州議会選でSPDが第一党の地位から落ちてしまった場合、ショルツ連立政権への退陣要求がこれまで以上に高まることが予想される。SPD内で「ショルツ首相では選挙に勝てない」という声が当然でてくるだろう。

ちなみに、リベラル派のFDPはショルツ連立政権に入って以来、選挙のたびに得票率を減らしてきた。東部3州議会選では議席獲得できる得票率5%の壁をクリアできずに敗退した。東部3州の議会で議席がない、という状況だ。党内では「政治信条が全く異なるSPD、緑の党との連立政権に入ったことが間違いだった」と指摘する声が久しく聞こえきた。ただし、政権で財務省を担当するリントナー党首はショルツ政権からの離脱を目下、考えていない。

当方は「”SPDのバイデン”に誰が退陣を求めるか」でも書いたが、選挙で勝てない筆頭候補者に対しては、辞任すべきだという当然の政治的圧力が高まってくる。SPD内でショルツ氏落としが始まるだろう。そうなれば、連立与党の緑の党やFDPとの政策論争とは違い、ショルツ氏は応戦できないだろう。

ショルツ政権の任期はあと1年余りを残すだけとなった。だから、SPDにとって、①任期満了まで、とにかくショルツ政権を継続する、②ショルツ首相の辞任を受け、早期総選挙に打って出る、の2通りのシナリオしかない。ブランデンブルク州議会選はSPDがどちらのシナリオを選ぶかを決定する選挙となるだろう。