しかし、米当局による陰謀だったことを示す証拠は未だ見つかっていない。
アーディン氏:アサンジ氏側が広めた説明には「一定の説得力がある」、それは彼が「米国防省を批判したからだ」(だから報復があるのだろうと)。しかし、陰謀説は「嘘」であり、「中傷行為だ」。
2010年12月、BBCとのインタビューの中で、アサンジ氏は「ハニートラップ(女性が色仕掛けで機密情報を取得する策略)である可能性は低い」と述べたものの、何も間違った行為をしていないと主張した。
「裁判にかけられるべきだった」アーディン氏は今でも、アサンジ氏はスウェーデンに来て、裁判にかけられるべきだったと思っている。「でも、もう実現しないので、この点はあきらめました」。
自分への性犯罪容疑が真剣に受け取られなかった理由の1つは、行為自体が暴力的と思われなかったからではないかという。性加害の行為は暴力的で、犠牲者が大きなトラウマに悩まないと、「性加害の犠牲者」としては見てくれない傾向があるのではないか、と。
アーディン氏はこういう。「例え影響力を持つ人物であっても、犯罪に対する処罰から逃れるべきではない」。そして、「アサンジ氏は私にしたようなことをする権利はなかった。この点をしっかりと認めるべきだ。やったことを反省してほしい」。
(「メディア展望」(新聞通信調査会発行)8月号に掲載された、筆者記事に補足しました)
編集部より:この記事は、在英ジャーナリスト小林恭子氏のブログ「英国メディア・ウオッチ」2024年9月8日の記事を転載しました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、「英国メディア・ウオッチ」をご覧ください。