今年6月26日、米自治領サイパンの連邦裁判所に出廷したアサンジ氏は、起訴されていた18件の罪のうち米スパイ活動法違反の罪について有罪を認めた。禁錮刑を言い渡されたが、英国の刑務所での収監期間を差し引かれ、約14年ぶりに自由の身となった。
現在、アサンジ氏はオーストラリアに住み、9月1日時点で会見やインタビューには応じていない。
被害者がアサンジ氏に言いたいことは性加害を通報した2人の女性のうちの一人がスウェーデン人の人権活動アンナ・アーディン氏だ。 同氏はBBCの取材に対し、アサンジ氏が自由の身になったことを喜んでいると述べた。アーディン氏はウィキリークスの報道活動を高く評価し、アサンジ氏はサイトの活動によって投獄されるべきではなかったという。
「戦争の現実を私たちは知るべきだ」。同氏によると、アサンジ氏は「英雄でもなく、怪物でもない。複雑な面を持つ男性だ」。
アーディン氏はアサンジ氏との出会いを本にまとめた(「No heroes, no monsters」)。
これによると、アサンジ氏から性的行為を行うよう圧力をかけられ、避妊具を使ってほしいと頼んだが、受け入れられなかったという。また、アサンジ氏は「意図的に避妊具を破った」。もう一人の女性「SW」は眠っている時にアサンジ氏から性加害を受けたという。
アサンジ氏側は性犯罪の訴えは米国政府が仕組んだものと主張し、アーディン氏はネット上で様々な嫌がらせの対象となった。アーディン氏を「米中央情報局の工作員」と呼んだアサンジ支援者もいた。
ネットの攻撃は「まるで地獄のようだった」(アーディン氏)。殺害予告まで出て、アーディン氏は、一時スウェーデンを去ろうと思ったという。
現在も、性犯罪容疑が米当局による陰謀だったと思う人は少なくない。アサンジ氏の支援者で、元ギリシャの金融相ヤニス・バルファキス氏もそんな一人だ。