政治
2024/09/14
自民党総裁選とCAR-T細胞療法
B細胞には抗体を作る細胞が含まれているので、抗体を作る免疫が低下したり、無くなっても影響がないのかと疑問視されたが、結果的には決定的な問題は起こっていない。しかし、再発によって死亡した患者を除く、非再発患者の死亡原因をまとめたのが、このNews欄の記事だ。7000名以上のデータで、元の原因疾患によって多少異なるが(追跡期間が不明なので評価は難しい)、4-15%の患者さんが再発以外の要因で亡くなっている。
抗体産生能力の低下から容易に推測されることだが、そのうち約半数の50.9%が感染症で亡くなっている。次いで2次がん(7.8%)(別の種類のがん)、心血管・呼吸器疾患(7.3%)と続く。CAR-T細胞療法の前に多くの化学療法などの治療を受けているので、CAR-T細胞療法と直接関連づけるのは難しいが、もっと早期の段階でCAR-T細胞療法で治療すれば、これらの割合は変わって来るかもしれない。
理解して欲しいことは、CAR-T細胞療法は数十年による努力に積み重ねで成功したものであることだ。このようなイノベーションを生むためには、まともな評価と息の長い支援が必要だ。
総裁選候補者には、是非、科学を理解して、科学をどのように支えるべきなのか、日本からイノベーションが生まれない理由は何なのか、しっかり勉強して欲しいと願っている。
編集部より:この記事は、医学者、中村祐輔氏のブログ「中村祐輔のこれでいいのか日本の医療」2024年9月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。
関連タグ
今、読まれている記事
もっと見る
関連記事(提供・アゴラ 言論プラットフォーム)