では単独のマンションの場合はどうするか、です。デベロッパーは正攻法で力づくの買収をしようとするから話がややっこしくなるのです。上述の通りカネの問題ではなく、安住の住処の問題なのです。よって老朽マンションのそばに一定規模の代替住宅を先に確保し、美化を行い、居住の確保を行う、これがやりやすいかと思います。

この大技が出来るのは一定規模のデベロッパーであり、管理組合がどれだけ知恵を出しても政府がどれだけ税制優遇をしても状況は改善しないのです。ただいわゆる日本のデベロッパーはイメージ第一主義でこんな泥臭い住宅の安定供給的な発想をする会社は少ないでしょう。UR都市機構も違うと思います。これができるデベがいれば老朽マンションの問題解決はだいぶ進むと考えています。

都市の再生とアップグレードは絶対に必要なのですが、人口減が進む日本に於いてそれほど立替需要が生まれるのか、という素朴な疑問もあります。災害時にエレベーターが使えないことを考えればむしろせいぜい20階建てぐらいに抑え、緑化を重視するような都市計画が必要ではないでしょうか?都市の進化とはむやみやたらに高層化することだけが能ではないと思います。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年9月9日の記事より転載させていただきました。