日経に「老朽マンション、全面改修・解体に税優遇 再生後押し」とありますが、あくまでも建て替えに関する議決権とか税優遇など表面的な後押しだけであって本質的な解決策は提示していないのです。
築40年以上たった老朽マンションの居住者の平均年齢を想像したらわかるでしょう。仮に新築時、住宅ローンを組んだのが30歳だとします。しかも今から40年前と言えばバブルが始まる少し前で物件価格が上昇し始めた頃です。とすれば「住めば都」に「住宅ローンの呪縛」「下落するマンション価格で売るに売れない」方々がそのままずっと住んでいる確率はそれなりに高いはずでそれらの方々は当然70代になっています。
そんなところに建て替え提案をされてみることを想像したらよいでしょう。考えるまでもなく「ハンターイ!」です。今ならローンも終わり月々の管理費や修繕積立金が2-3万円で済むのです。それをアパートに移るだけで月に7-8万円の出費、しかも嫌がられる高齢者となれば全く機能しないのは自明の理であります。
ではお前ならどういう知恵があるか、と言われたらその物件の状況にもよります。例えば私は東京にいる時にサイクリングをする際、板橋の高島平団地とか北区の桐ヶ丘団地を通るコースがあり、そこを横目で見ながら思うことがあるのです。
このような団地の再生は比較的簡単だと。まず、2棟か3棟の複数の建物の開発計画案と買収案を第三者のデベロッパーが同時に発表します。その後、5割の同意が得られ買収が進んだとします。残り5割はたいがい上記の理由により動けない方々です。
そこでそれらの方々をその複数棟の中の一つの棟に集約させる、つまりわかりやすく言えば「恐れ入りますが、お隣の棟に移っていただけませんか?」です。団地なので間取りはほぼ同じ、場所も隣の棟なら了解は取りやすいでしょう。更に大規模開発前にそちらの建物の外壁や共有部を手直し、美化し、大規模開発が出来た時に老朽化陳腐化したイメージを出さないようにする、これが一つのギミックかと思います。