最大出力は15ps/10,500rpmと非力。思い切りスロットルをひねっても80㎞出るかどうか。峠に至っては「匍匐前進した方が早いんじゃないか?」と思うくらいノロマです。スピードを求めないライダーには最適。車両重量123kgと軽量なうえに、シート高は730mmと低く、小柄な初心者女性ライダーに人気でした。

昔の彼女の愛車だった

CBX125カスタムは、20代の頃に付き合っていた彼女の愛車でした。身長154cmの彼女が、私と走りたい一心で免許を取り、中古で購入したバイクです。久しぶりに再会し、様々な思い出が蘇りました。パワー不足で置いてきぼりにしてしまいヘソを曲げられたこと。ソロツーリング中に「寂しくなった」と電話を貰ったこと。海外青年協力隊に参加するために、帰国までCBX125カスタムを人に預けたこと等々。

「外国になんて行くな」と言ってほしかったことは分かっていましたが、真逆の言葉をかけて送り出しました。その後、何度か手紙のやり取りがありましたが、彼女と会うことはありませんでした。取材を終えてCBX125カスタムが走り去る姿を見ていると、懐かしさや後悔など、やるせない気持ちが押し寄せてきたのでした。