今回、彼らが口に咥えていたのは、ボリビアに生息する「ベニアナコンダ(Eunectes beniensis)」という種です。
全長は約4メートル50センチ、体重は35キロほどに達し、生息圏の頂点捕食者として、何者も彼らに近づくことはできません。
共食いの例を除けば、ベニアナコンダが他の動物に殺されたり食べられたりする光景は目撃されたことがないのです。
では、なぜカワイルカは、アナコンダを口に咥えたりしたのでしょうか?
イルカたちは性的に興奮していた
これについて、研究チームはまだ明確な答えを出すことができていません。
最も有力なのは、アナコンダをおもちゃにしたという説明です。
イルカにとって遊びは、発達過程の重要な側面であり、子イルカが採餌や交尾に関わるスキルを練習する最適な機会となっています。
ベニアナコンダは半水棲生物で、水中でも活動できますが、その時間は限られています。
チームが観察したところ、イルカは少なくとも7分間、アナコンダを水中に押さえつけており、それによって死んだ可能性もあるようです。
また、もう一つ考えられるのが、性的な好奇心を満たすためという説です。
イルカは人間に劣らず性的に活発な生き物で、あらゆる手を使って欲求を満たします。
たとえば、バンドウイルカのオスは、自らの性器にウナギを巻きつけることがありますし、水族館では、共生しているゴンドウクジラの吹き口に、性器を挿入しようとした例が観察されています。
今回の観察では、アナコンダを弄ぶイルカが勃起しているのが確認できたと研究者は述べており、もしかしたらアナコンダの柔らかさや肌触りが彼らの性的興奮を煽った可能性もあるようです。
今回の行動は、こうしたイルカの持つ習性の一環と考えられますが、いずれの説が正しかったにせよアナコンダにとってはいい迷惑だったでしょう。