またカボチャのつると葉が地面を覆うことで、光を遮って雑草の成長をいくらか抑制したり、厚くて広い葉によって土壌を湿らすための水分を保持しやすくなったりします。
さらにマメは、背の高いトウモロコシの茎を登って、太陽を浴びる機会を得ています。
このように、既に判明している要素だけでも、伝統農法「ミルパ」が効果的であることが分かります。
そして今回、グロフティザ氏らの新しい研究では、この3種の相互関係のうち、トウモロコシとマメにおける新たなメリットを発見することができました。
トウモロコシは悲鳴を上げて助けを呼んでいる
研究チームは最初、実験用の畑で、「ミルパ農法」と「3種類の作物を別々に栽培すること」を比較しました。
その結果、ミルパ農法の方が、害虫からの被害が少ないことが明らかになりました。
この点をさらに詳しく調べるため、研究チームは、実験室でトウモロコシを栽培し、穀物を食べる害虫「アワヨトウ(学名:Mythimna unipuncta)」の幼虫に襲わせました。
そして、その際にトウモロコシから放出される揮発性物質を収集しました。
この揮発性物質の存在は昔から知られており、30種類の物質が含まれているようです。
これらの成分には、害虫アワヨトウに寄生するハチ「カリヤコマユバチ」を引き寄せる効果があります。
この寄生バチに卵を産み付けられたアワヨトウは、孵化した幼虫たちに内部から食べられてしまいます。
つまり、トウモロコシは自分が害虫に襲われると悲鳴を上げ、自分を守るための兵士を呼ぶことができるのです。
このことは以前から知られていましたが、研究チームは、このトウモロコシの悲鳴が近くに植えられているマメにも影響を与えることを新しく発見しました。
マメはトウモロコシの悲鳴を聞いている
研究チームは、実験室で収集したトウモロコシの揮発性物質をマメに与えると、マメが自分の防御を増強することを発見しました。