ゼレンスキー氏が西側諸国に必死に応援を求め、果敢にロシア内まで攻撃していますが、自国にはロシアが攻め入り、東部のみならず、キーウにもその攻めの手が入るなど混迷の度合いを深めています。ウクライナがロシア領に攻め入ったのは将来あるであろう終戦/停戦会議で有利な立場を築くため、ロシアがウクライナの領土を侵攻するなら自分たちはロシアに攻め入り、「領土相殺」の発想で取引条件を良化することとされています。

一方、国内統制は非常に悪いと言えます。3日には副首相以下5名の大臣が辞表を出し、4日にはクレバ外相も辞表を提出しました。ゼレンスキー氏は内閣改造と言っていますが、これだけの閣僚や要人が一斉に辞めるということは方針の不一致であり、ゼレンスキー氏の一人芝居がより強まる可能性が懸念されています。ではそのゼレンスキー氏は自身の意思で一歩も引かず、更に犠牲を伴いながらも戦況改善にまい進するのでしょうか?50カ国のウクライナ支援国による会議、ラムシュタイングループ会合が6日、開催され、欧米主要国は引き続きウクライナへの支援を約束しています。非常にうがった見方ですが欧米は武器刷新のためにウクライナを利用しているように見えます。

かつて「景気が悪くなれば戦争をする」と言われたことがあります。ウクライナが侵攻されてから2年半以上経ちます。欧米の景気が良くなったかと言えば株価はよく上がった、これは確かに言えますが、景気が良くなったとは感じられません。ただ、軍需産業が国家に利益をもたらすことは確かでこの戦いが止められない、止まらない既得権益になりつつあるようにも感じます。その点でゼレンスキー氏が大統領である限り欧米には都合がよい、というとんでもない私の偏見が絶対に間違っているとも言えない気がするのです。

後記 会社の同僚ではないですが、事業立ち上げ以降長年一緒に働いた「女帝」が数年前に退職後、クロアチアに帰国し「第三の人生」をエンジョイ中、交通事故で即死したとの報を受けました。私のカナダ32年間で数多くの人と関わった中で彼女の印象深さは横綱級でした。「I am a cobra. If you did a bad thing, I will bite you!」が口癖。正当な理論派ながらも強引に押し通すため、多くの人は彼女が大嫌いでいつも批判の渦潮がぐるぐる巻いていても決してくじけず、強かった点は見倣いました。私もコブラに何度もかみつかれそうになったけど、だみ声で「仲間にゃ噛まないよ」と優しさもあり、私は批判が多かった彼女の数少ないサポーターの一人でした。今ならコブラもコンプラに飲み込まれ、こんなユニークな方は雇われないのでしょう。ある意味、面白い時代がなくなったといえそうです。