アメリカでUSスチールが日本製鉄による買収がなされないならば大量のレイオフや本社移転を含めたリスクがあると同社経営陣が述べています。トランプ氏もバイデン氏もハリス氏もUSスチールを守るといいながらそれは黄昏に対する哀愁であり、その3人にとってUSスチールのような小さい会社の存亡はどちらでもよいはずですが、後ろにつく労働組合の票が欲しいがゆえに心にもないことでも平気で口にするわけです。これが逆に企業の生命力を悪化させるとも言えるのです。

ちなみにUSスチール買収に興味を持っていたクリーブランド クリフス社はカナダの大手ライバルStelcoの買収を行い、その承認の株主総会が9月16日に行われます。とすればクリーブランドは資金的にUSスチールには手が廻らないとみています。つまりUSスチールは取り残されるのです、大統領達の政治活動のせいで。

倒産や被買収は企業が自立できなくなった際の当然のあるべき姿であり、倒産ではなく、買収されるならば新しい資本が入り従業員にとってプラスのはずなのです。これを大統領や大統領候補になろう人が全然わかっていないのです。バイデン氏がCHIPS法を通じてインテルをそこまでして救おうとすること自体が自助と淘汰の世界に余計な力をかけ、経営の自立性を崩すのであります。

今日のタイトル、「インテルとフォルクスワーゲン、何を間違えたか」、私の答えはずばり、政府が手を差し伸べたあるいは政府が主導して何かをしようとしたことが概ね外したということではないかと思います。企業は野性味をもって野に放つ、そこで筋力をつけ、体力をつけ、成長するものなのに政府が檻に閉じ込め、餌をやり飼育計画を作ることでダメにしていると私は強く申し上げたいと思います。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年9月6日の記事より転載させていただきました。