未解決事件の謎に挑むFBI捜査官、モルダーとスカリーの姿を描いたドラマ「Xファイル」。1993年の初回放送以来、その奇妙で超常現象的な、そして背筋が凍るような恐怖の描写は、多くの視聴者を魅了してきた。

 トイレから何かが出てくる恐怖(「Flukeman」)、虫に喰い殺される恐怖(「Darkness Falls」)など、理不尽な恐怖がトラウマになっている人も多いかもしれない。しかし、数々の衝撃的なエピソードの中でも、「Home」と題されたエピソードは、あまりにもショッキングな内容から、放送禁止となり、現在でも一部の配信プラットフォームでは視聴できない状態が続いている。

度重なるタブーへの挑戦、そして「Home」の衝撃

 全202話にも及ぶ「Xファイル」は、9シーズンに渡り、宇宙人、連続殺人犯、政府の陰謀、悪夢のような怪物など、ホラーとミステリーの境界線を揺るがすようなテーマに挑戦し続けてきた。しかし、近親相姦と嬰児殺害を露骨に描いた「Home」は、視聴者にあまりにも大きな衝撃を与え、放送禁止という異例の事態を招くことになる。

 脚本を担当したグレン・モーガンとジェームズ・ウォンは、あるドキュメンタリーとチャールズ・チャップリンの伝記からインスピレーションを得て、人間の暗部を容赦なく描き出したという。