— 河野太郎 (@konotarogomame) September 1, 2024

後期高齢者の9割引医療をやめるとき

この最大の原因は、後期高齢者の9割引医療である。これでは公的医療保険制度の持続性が危ぶまれるということで、ようやく厚労省も3割負担の拡大を検討し始めた。

これと前期高齢者の8割引医療をやめると赤字は約5兆円減るが、それでも残りの5兆円の穴は埋まらない。そんな中で自民党の幹事長が、社会保障にまったく言及しないで「増税ゼロ」を約束するのは、どういう神経なのか。

5%のインフレ税で社会保障の赤字は減らせる

実は増税ゼロ・歳出削減ゼロで、社会保障の赤字を埋める方法が一つだけある。赤字をすべて国債の増発でまかない、それを日銀に引き受けさせるのだ。安倍政権が黒田日銀にやらせた財政ファイナンスである。

政府債務1300兆円のほとんどは名目ベースなので、インフレで貨幣価値が下がると実質債務が減る。今でも毎年2%のインフレで約25兆円(消費税10%分)のインフレ税がかかっているが、5%のインフレにすれば65兆円で、消費税を35%に上げるのと同じ効果がある。社会保障給付もほとんどは名目ベースなので、大幅に減らすことができる。

もし茂木氏が財政インフレを考えているとすれば、それも一つの戦略である。具体的には首相が「5%のインフレ目標を設定し、それが実現するまで日銀が国債を無制限に買う」と宣言するのだ。金利も上がってインフレ・スパイラルになるかもしれないが、1ドル=200円以上になり、企業収益は上がる。それ以外の国民は貧困化し、格差は拡大するだろう。