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クビの専門家です。

「解雇規制緩和」と聞いて、もしかしたら「社長の一存で簡単にクビを切られる!」と心配している人がいるかもしれませんが、「解雇を受け入れる代わりに、労働者が金銭を受け取る『金銭解決制度』導入を検討」ってハナシですからね。解雇の金銭解決制度、私は大いに賛成です。

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意外に思われるかもしれませんが、現在我が国では、解雇を金銭解決できる制度が存在しません。なので、会社から不当解雇された人が裁判で争う際には、いくら会社に愛想を尽かしていて復職したくなくても、「解雇は無効だから復職したい」と主張するしかないんですね。

会社側としても一旦解雇した人物を復職させる気はなく、解雇の撤回もしたくない。ではどうするかといえば、お互いにとってあまり意味のない「復職」をテーマに裁判し、その妥協点として「退職する代わりに解決金を獲得する」という方向に持っていくしかないんです。実に不毛ですよね。

「解雇の金銭解決」を制度として正式に導入できれば、そんなムダなやりとりをしなくても済みます。しかも、わざわざイチから制度構築する必要もありません。

理論上は、現行の労働契約法16条に追加で「解雇に際し、使用者が対象労働者の賃金○ヵ月分以上に相当する金銭を支払った際は、その解雇は客観的な合理性を有し、社会通念上相当であるとみなす」といった一文を入れるだけでいいんですから。