積極的なバリエーション拡大で基幹車種に成長

 コンパーノは、ダイハツの基幹モデルとして、積極的にバリエーションアップを図る。1965年4月にはフルオープンモデルのスパイダーを発売。スパイダーは998ccに排気量を拡大したツインキャブ仕様の65psエンジンを積み、精悍なスタイリングに相応しいパフォーマンスを手に入れる。翌1965年5月にはベルリーナに998ccのシングルキャブ仕様55psエンジンと、ホイールベースを60mm拡大した4ドアモデルを追加。さらに1965年10月にトラック、11月にはベルリーナの2ドア版に、スパイダーと同じツインキャブエンジンを積むGTグレードをラインアップする。1967年4月にはGTのインジェクション仕様や、2速ATを加えた。

【クルマ物知り図鑑】ダイハツ初の本格乗用車は、イタリアンデザインの洒落者。コンパーノ・ベルリーナの光る個性と輝き
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)
【クルマ物知り図鑑】ダイハツ初の本格乗用車は、イタリアンデザインの洒落者。コンパーノ・ベルリーナの光る個性と輝き
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

 ダイハツは、1967年夏にトヨタ傘下に入り、自社開発モデルの主力を軽自動車に移す。コンパーノはモデルチェンジされることなく初代でその生涯を終えた。だが、コンパーノで培われた乗用車作りの貴重なノウハウは、それ以降のダイハツのすべてのクルマに生かされていた。コンパーノ、中でもセダンのベルリーナは、良心的で堅実なダイハツのクルマ作りが光った名車だった。

 ところで、コンパーノのデザインを手がけたヴィニャーレとは、どんな存在だったのだろうか。1960年代は、イタリアのカロッツェリアにデザインを委託するメーカーが珍しくなかった。日産は2代目ブルーバード(1963年デビュー)と、2代目セドリック(1965年デビュー)をピニンファリーナに依頼。いすゞの117クーペ(1968年デビュー)はギアが手掛けた。ダイハツ・コンパーノのスタイルを担当したヴィニャーレは、1948年に活動をはじめたトリノの工房。フィアットやアルファロメオ、フェラーリ、マセラティのスペシャルモデルの製作で名声を得た。量産車ではコンパーノのほか、東欧チェコのタトラ613(1968年デビュー)のデザインをまとめたことで有名。ヴィニャーレは1969年にデ・トマソ社に買収され、その後、1973年にフォードに売却された。

【クルマ物知り図鑑】ダイハツ初の本格乗用車は、イタリアンデザインの洒落者。コンパーノ・ベルリーナの光る個性と輝き
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)
【クルマ物知り図鑑】ダイハツ初の本格乗用車は、イタリアンデザインの洒落者。コンパーノ・ベルリーナの光る個性と輝き
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

ダイハツ・コンパーノ主要諸元

モデル=1963年式コンパーノ・ベルリーナDX(F30型)
全長×全幅×全高=3800×1445×1410mm
ホイールベース=2220mm
トレッド=フロント:1180/リア:1160mm
車重=755kg
エンジン=797cc直4OHV
最高出力=41ps/5000rpm
最大トルク=6.5kg・m/3600rpm
最高速度=110km/h
最小回転半径=4.5m
サスペンション=フロント:ウィッシュボーン/リア:リーフ・リジッド
ブレーキ=前後ドラム
タイヤサイズ=5.20-12-2PR
駆動方式=FR
乗車定員=5名

提供元・CAR and DRIVER

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