『天空の城ラピュタ』の特殊性

『天空の城ラピュタ』は特殊な事情を持つ。X(旧Twitter)上では、作品タイトルより「バルス」というキーワードが3倍以上の23万回超、投稿された(Yahoo!リアルタイム検索調べ)。ラピュタが「バルス」という呪文で崩壊する瞬間が山場となる物語だが、主人公たちだけでなく、視聴者などもその言葉をつぶやく“バルス祭り”が10年以上前から放送日に盛り上がり続けているのである。

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(画像=『Business Journal』より 引用)

 結果として同作の放送時間中の視聴率の推移は右肩上がりとなる。個人全体では放送開始から4%ほど上がったが、コア層だと5%ほど。つまり若年層ほど番組途中から見始める人が多いのである。明らかにSNS上の“バルス祭り”が放送に好影響を与えている。

 実は同作品は「金曜ロードショー」では14回目の放送から視聴率が上昇した。03年の9回目の放送以降、13回目までじりじり数字は下がっていた。ところが13年に14回目の放送で、世帯視聴率で3%ほど跳ね上がった。SNSの普及で“バルス祭り”が起こり始めたのである。この時は放送中に6%ほど上昇していた。その後、日テレは意識的に“バルス祭り”を仕掛けたこともあるくらいだった。

 この“バルス祭り”は一つの教訓だろう。テレビ局の意図が見え見えではSNS上の反応は安易に動かないが、必然性のある流れを作ると視聴率は上昇することがある。これまでのジブリ映画の27作品を分析し直すと、そういう妙案が浮かび上がる可能性がある。