理由はテスラにあります。アメリカで売っているテスラはアメリカ製。ところがカナダのテスラは中国上海製なのです。カナダ政府はこれを嫌ったのでしょう。今回の100%関税はテスラ社への対抗措置なのです。テスラ社はやむを得ないのでアメリカか欧州で作るテスラをカナダに振り替える準備に追われるのです。ちなみにカナダではテスラ以外は中国製EVは市場に実質的にはないと理解しています。

日本市場ではBYDを含め中国EVの販売を展開する動きが出てきています。政府は関税なりで対抗措置をとれるのでしょうか?日本はそもそもEVに対する反応が鈍いのですが世界でも名だたる自動車王国で中国製EVとなれば恥ずかしいどころではありません。

中国が経済的に回らない、少額消費すらおぼつかないとなれば次に起きるのは富裕者層の国外脱出だとみています。これは以前ほどたやすくないでしょう。お金があれば外国のパスポートを取得できた時期もありますが、その後、中国人が移住先国で様々な活動、主に中国共産党との連絡を含めた協力者となるケースがあるためです。このあたりの感覚が日本では鈍いですから中国の富裕者にとって移住対象になりやすいのが日本になりかねないとみています。

香港で1997年返還前富裕層の国外脱出がおきたのを私はつぶさに見てきました。今、それが中国本土で起きた場合、それは中国にとっても世界にとっても頭痛のタネになるでしょう。

中国はモノだけでなく、人も輸出してきたぞー、ということです。

では今日はこのぐらいで。

参照:中国とどう対峙するか? 岡本 裕明

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年9月2日の記事より転載させていただきました。