中国の一人当たりGDPは現時点で12500㌦程度で世界ランクで見れば74位で同じくらいの位置にはトルコやマレーシアがあります。一人当たりGDPは国民の富を見るうえでは参考になるのですが、今、面しているのは中進国の罠というより共産主義の限界といったほうが正しい気がしています。経済は不正不当競争防ぎながら自由な競争と市場の需給の自動調整機能を重視すべきというのが基本シナリオです。

ところが中国の場合2つのエラーが起きたとみています。1つは国民の消費行動が受動的で人の話や評判による行動規範が強く出る点です。(中国ほどではないですが、日本もこの点は否定しません。)そのため例えば、不動産⇒儲かる⇒買う⇒儲かった⇒人に言う⇒皆が買うという流れが強く出ます。不動産をEVに置き換えた場合、皆が乗る⇒自分も乗る⇒補助金の大盤振る舞い⇒Buy Chinese 主義万歳 ということになるのでしょうか?

もう1つのエラーは政府が経済の自由度に制約を加えたことです。これは習近平氏が考える共産党のイデオロギーとの対比において困る業種、例えば民間企業のビッグデータが国家保有データを凌駕するリスクとか、教育の仕方が欧米的になれば共産主義を否定する輩も出るだろうといったリスクです。これらは中国共産党が自らの身を守るために設定した制限ルールです。

一方、以前も書きましたが、国内の需要が十分でなければ海外で売り捌くという姿勢があり、中国製品が雪崩のように諸外国に押し寄せています。これで世界経済の歯車は当然狂ってしまいます。これが今起きていることです。

ここでカナダが立ち上がりました。中国製EVに100%関税実施をアメリカに先駆けて実施することにしたのです。アメリカはEVの100%関税をアナウンスしていますが、手続きに時間がかかっており、具体的な発表は9月下旬以降になるはずでカナダが先行した形になります。ではなぜカナダが先行したか、これはたぶん日本のメディアは触れていないと思います。