キッケル党首は8月21日、ウィーンのブルクガルテンのパルメンハウスで同党の選挙プログラムを発表した。そのタイトルは「オーストリア要塞」((Die Festung Osterreich)だ。キックル党首にとってオーストリア要塞は「自由の要塞」であると言明している。

自由党は、移民排斥、ナショナリズム、欧州連合(EU)やグローバリズムに対して強い懐疑心を抱き、イスラムフォビアだ。その一方、厳格な伝統的家族観を支持している。

キックル党首は「自由党は個性、主権、均質性、そして連帯を重視する」と述べ、パンデミック時の基本的権利や自由の制限について批判している。そして「オーストリアは主権国家であり、EU、WHO、または国際裁判所の命令を受ける者であってはならない」と強調し、オーストリア・ファーストを掲げている。

キックル氏は同時に、「民族移動」やイスラム主義、さらには「ジェンダー主義」の脅威について言及し、「民族移動」や「イスラム主義の輸入」に対抗するためには「再移住」が必要であると述べている。そして「連帯はオーストリア人のためにあるべきだ。社会福祉は国民にのみ支給されるべきであり、亡命は限定されるべきだ。そもそもオーストリアではもう亡命申請が行われるべきではない」と説明し、ハンガリーのオルバン首相と同様に、「移民ゼロ」政策を掲げている。

自由党の政策で興味深い点は、子供の世話において「平等な選択の自由」を求めていることだ。子供の世話施設の拡充と家庭内での世話の強化の両方に言及し、「子供が義務教育を開始するまでの世話の時間が年金に加算されるべきだ」という。非常に具体的な提案だ。さらに、憲法によって、男女の二つの性別のみが存在することを明記すべきだと主張している(「民主主義がエモクラシ―となった?」2024年2月6日参考)。

選挙プログラムは党の公約だ。実行できるか否か別問題だ。自由党の選挙プログラムを一瞥すると「オーストリア要塞」というタイトルが間違っていないことを感じるが、キックル党首が信じているように、それが「自由の要塞となる」かは残念ながら不確かだ。