物流業界にとって倉庫は、ビジネスチャンスがあってから探したのではまったく無意味で、必ず確保しておかなければ商売にならない商業不動産施設です。だから、オフィスビルや小売店舗ビルで20~30%の空室率ならごくふつうの国でも、倉庫の空室率が10%を超えると深刻な不況と言われます。

その倉庫が北京では15%、上海では20%の空室率になっているのです。これまで我が世の春を謳歌してきた都市戸籍を持つ都会人のあいだでも、かなり経済環境がきびしくなって消費を節減している証拠でしょう。

耐久財をポイ捨てする国

製造業各社は、過剰設備をなるべく低い特別損失で除却するために流動費より少しでも高い値段で売れるものはどんどん造り、輸出します。

そういう風土の中で育った都会の中国人たちは、耐久消費財をまるでタバコの吸い殻のようにポイ捨てする習慣を身につけてしまっています。

次の2枚組写真のうち、おそらく左の1枚はエンジン車の、そして右の1枚は確実にEVの墓場です。

続いてオートバイの墓場です。

そして、自転車の墓場です。

実用に供されることもなく新車のまま捨てられてしまった自動車は論外として、オートバイと自転車では、自転車のほうがまだしも自分が乗ったものだから捨てるにしても整然と積み重ねたいという愛着を感じるのは、私のたんなる思い入れでしょうか。

刻々と迫る金融危機

その中国に、おそらく1958年の第2次5ヵ年計画で人民公社・大躍進のスローガンを掲げた強制的な共同体経済化が最小でも1500万人、最大で5500万人の犠牲者を出したと推定される1960年代初頭以来の危機が迫っています。

大きな違いは、当時の危機が実物経済の危機だったのに対して、今回の危機は金融危機だということです。

左側のグラフを見ると、いまだに金融市場にいくらカネを注ぎこんでも金融資産価格が上がるだけでちっとも実体経済の改善にはつながらないことがわからない中央銀行がいかに多いか、一目瞭然です。