ファストフードチェーン「ケンタッキーフライドチキン(KFC)」の看板メニュー「オリジナルチキン」をめぐり、一部SNS上で「鶏ガラみたいに痩せてる」「激ヤセしててびっくり」「骨と衣だけになった」などと話題となっている。実際に店舗で購入してサイズを検証してみるとともに、ここ最近で量・サイズの変更は行われたのかを運営会社に聞いてみた。

 全国に1232店舗(2024年3月31日現在)を展開し、フライドチキン専門店チェーンとしては圧倒的な強さを誇るKFC。原材料価格やエネルギーコストの高騰を受けて外食業界で値上げが広がるなか、KFCも昨年10月に一部商品の値上げを実施。主力の「オリジナルチキン」は290円から310円に、「チキンフィレバーガー」は390円から440円に、「ポテトS」は270円から290円に、「カーネルクリスピー」は270円から290円に、「挽きたてリッチコーヒー」は260円から270円に改定。「オリジナルチキン」については昨年3月にも260円から290円に改定されており、1年の間に50円、約2割の値上げが行われた。

 現在は期間限定キャンペーンとして「オリジナルチキン」3ピースと「カーネルクリスピー」2ピースが入った「カーネル生誕祭パック」(990円/税込み)で販売しており、単品積上げ価格と比べて520円オトクとなっている。

 KFCの商品戦略として特徴的なのは、頻繁に複数の商品をセットにして「単品積上げ価格」と比べて低い価格であることをウリとするパック商品を投入している点だ。

「値下げキャンペーンを連発すると、消費者からは『レギュラーメニューが割高なのでは』と疑問を持たれてレギュラーメニューの買い控えが起き、値下げしないと買ってくれないという“値下げキャンペーン依存”の負のスパイラルに陥るリスクがあります。そしてKFCはすでに、この悪循環の入口に足を踏み入れてしまっているようにみえます」(外食チェーン関係者/8月19日付当サイト記事より)

 黄色信号は業績にも表れ始めている。2024年4~6月期の連結決算は、営業利益が前年同期比73%減、純利益が33%減となった。既存店客数をみてみると、今年に入り前年同月比減の月が続いており、2割ほど落ちている月もある。

「国内の実質賃金が低下傾向で消費者の懐が厳しくなるなか、ファストフードチェーンのなかで相対的に高価格なKFCに対する逆風は強まる懸念があります。たとえば期間限定メニューをみてみると、牛肉パティを使うマクドナルドの『チーズ月見』は470円(店舗によって異なる/以下同)なのに対し、鶏肉パティを使うKFCの『とろ~り月見チーズフィレバーガー』は540円です。また、マクドナルドの『プレミアムローストコーヒー Sサイズ』は120円なのに対し、KFCの『挽きたてリッチコーヒー』は270円です。そしてKFCの主力商品である『オリジナルチキン』は1ピースで310円であり、格安スーパーであれば同レベルの価格で弁当が買えることを考えれば、KFCの価格の高さが際立ってきます」(外食チェーン関係者)

「オリジナルチキン」には5種類の部位

 そして今回話題になっているのが、「オリジナルチキン」のサイズだが、「オリジナルチキン」といえば秘伝のレシピに基づいてつくられていることは有名だ。創業者カーネル・サンダースが1940年につくり上げたというレシピは、11種類のハーブとスパイスを配合したもので、一般的な製法であるフライヤー調理とは異なり、圧力鍋で最高温度185℃で約15分かけて揚げるというもの。店舗内で1本1本、手づくりでつくられ、HP上では品質へのこだわりの強さについて次のように説明されている。

「ハーブとスパイスの配合を知っているのは、世界でたったの3人。スパイスは複数の工場で数種類ずつ配合され、店舗に向けて出荷されます。各店舗でそれらをブレンドして初めて、11種類のハーブ&スパイスが完成」

「オリジナルチキン」には以下の5種類の部位がある。

・サイ(腰)
・ウイング(手羽)
・キール(胸)
・リブ(あばら)
・ドラム(脚)