チェーン店と非チェーン店で異なる事情

 では、ハンバーガーチェーンなどを除くファストフードチェーンをはじめ、飲食店では使い捨てではない食器を使用している理由はなんなのか。

「飲食店は売上を伸ばすために、客数・客単価・回転率を意識しています。チェーン店は季節ものやスポットもの、限定ものなどのメニュー開発によって高単価の商品を提案しているものの、基本は『安さ』を重視しています。チェーン店に対するお客のニーズは『安さ』ですから、すき家はここを意識して使い捨て容器に行きついたのでしょう。容器だけの長期的コストで考えるなら、割れにくい使い捨てではないプラスチック製食器のほうが安くなるでしょうが、もっと大きなコストが人件費です。食器を洗う人=洗い場担当の人件費をできるだけ抑えることができれば、使い捨て容器の導入はコストダウンにつながります。通常の食器やグラスは、営業時間中も営業終了時も片付けに時間がかかるため、使い捨て容器の導入は時間短縮、人件費削減に効果的となります。

 商品を安く提供することが優先事項であるチェーン店にとっては、コストダウンのために使い捨て容器を導入するという選択肢は現実的ですが、チェーンではないお店は価格を最重要視しているわけではありません。客単価やオリジナリティー、付加価値を意識してお客を満足させようとします。そのため、効率性重視の使い捨て容器を利用することはあまりありません」(江間氏)