「裏金問題」表面化後、最初の国政選挙となった4月28日の3つの衆議院補欠選挙で、自民党は保守王国と言われ過去に敗北したことがなかった島根一区で惨敗、他の2つの選挙区では、公認・推薦もできず不戦敗という惨憺たる結果に終わった。

自民党内では、議員本人に収支報告書の「確認書」の作成を義務づけたうえで、会計責任者が虚偽の記載などで処罰された場合、内容を確かめずに作成していれば公民権を停止する措置を導入するなどの「裏金問題の再発防止策」中心の政治資金規正法改正案を自公両党で国会に提出し、強引に成立させたが、そのような「その場しのぎ的対応」で国民の不満や怒りが収まるはずもなく、岸田内閣への支持率は低迷を続けた。

こうした中で、9月に任期満了に伴い自民党総裁選挙に向けて去就が注目されていた岸田文雄首相が総裁選不出馬、退陣の意向を表明したのである。

岸田首相の不出馬の最大の原因となったのが「裏金問題」であり、岸田首相が行ってきた対応が国民から全く評価されず、信頼を失ったからこそ、再選に向けての出願を断念せざるを得なかったのである。今回の総裁選では、「裏金問題」への対応に関して、岸田首相との違いをアピールできる対策の「競争」になると考えるのが当然だろう。

「裏金問題」への対応には、二つのポイントがある。

一つは、派閥から政治資金パーティーの売上のキックバック等を受け、政治資金収支報告書に記載しなかった議員(裏金議員)に対して、どのような対応を行うのかという問題、もう一つが、このような「裏金問題」を含め、政治資金制度をどのように是正していくのか、具体的に政治資金規正法をどう改正していくのか、という問題である。

この二つについて、国民に全く評価されなかった岸田首相の対応とは異なるどのような施策が打ち出せるかが注目点だ。

しかし、小林氏、河野氏の二人の政治資金問題、裏金問題についての出馬会見での発言の内容は、全く評価できないもので、「愕然とした」というのが率直なところであった。