今回私は、2020年に日本遺産(※)に認定された山梨県の昇仙峡へ行ってきました。
新宿駅から特急で甲府駅まで2時間弱、そこからバスに乗り30分ほどで訪れることができるお手軽観光スポットです。でも、多くの人が代表的スポットの仙娥滝と周辺だけを見て、その後は勝沼周辺で果物狩りをして帰ってしまうそうなのです。
今回私はとんぼ返りプランではなく、日本遺産ストーリーの一部をたどりながらじっくり1日昇仙峡を体験しました。1日昇仙峡にいて、感じたことは、「とんぼ返りで帰ってしまうにはもったいない!」でした。
そんな昇仙峡をレポートします!
(※)日本遺産とは、地域の歴史的魅力や特色を通じて日本の文化・伝統を語る文化財群のストーリーを「日本遺産(Japan Heritage)」として文化庁が認定しています。昇仙峡は、「甲州の匠の源流・御嶽昇仙峡~水晶の鼓動が導いた信仰と技、そして先進技術へ~」として日本遺産に認定されました。
目次
マイナスイオンを浴びながら奇岩・奇石が続く渓谷沿いを歩く
ロープウエイで空中散歩も!頂上展望台はパワースポットだった!
マイナスイオンを浴びながら奇岩・奇石が続く渓谷沿いを歩く
昇仙峡は国の特別名勝に指定されており、指定名称は御嶽昇仙峡です。
山梨県甲府市の北部に位置する渓谷で、日本一の渓谷美といわれており、長い歳月をかけて削り取られた花崗岩の断崖や奇岩・奇石と清く澄んだ豊富な水の流れを間近で楽しむことができます。
<今回歩いたコース>
昇仙峡口バス停(甲府市営駐車場) ・・・ 長潭橋 ・・・奇岩・奇石ゾーン(猿石、ラクダ石、五月雨岩)・・・天鼓林 ・・・羅漢寺・・・石門 ・・・仙娥滝
長潭橋(ながとろばし)
スタート地点です。大正14年にできた歴史を感じる石造りの橋で建築雑誌にも掲載されたこともあるのだそうです。
山梨県内に現存する戦前完成の3つのコンクリートアーチ道路橋のうち最古であり、昇仙峡観光の歴史を語る上で重要な土木遺産として平成24年度の選奨土木遺産に選ばれています。
奇岩・奇石ゾーン
渓谷沿いの遊歩道にはユニークな名前の付いた奇岩奇石がたくさんあります。主だったものを紹介します。
猿岩
山の上から渓谷を見下ろしています。イルカの顔に見えるという説もあり。(各岩・石の案内にはQRコードが設置されていて、読み取ることができます)
らくだ石
かなり大きな石です、文句なしラクダの背中のような曲線の石です。
五月雨岩
柱状節理の岩の壁が五月雨を集めて流すように見えます。
天鼓林(てんこりん)
秋の紅葉の季節は昇仙峡で最も美しい景観だと言われていますが、青もみじの風景も素晴らしかったです。
林の中の限られたところに立って足を強く踏むと、地中からポンポンと鼓を叩く音に似た共鳴音が還ってくることから天鼓林と呼ばれている場所なのですが、鼓が鳴る場所は分かりませんでした...。
ちなみに、紅葉の時期はご覧の通り。
羅漢寺
渓谷の遊歩道から橋を渡ってハイキング道を少し歩くと羅漢寺に辿り着きます。
羅漢寺のある金峰山は、富士信仰と並ぶ御嶽信仰の甲信国境の山で、羅漢寺はその拠点となる修験道場であったとされています。木造の阿弥陀如来坐像とともに五百羅漢像が安置庫に収められていて外部からその様子を伺うことができます。
ハイキング道
覚円峰
昇仙峡のシンボルの岩です。
水面からほぼ垂直に屹立する高さ約180mの巨岩で、夢の松島と呼ばれる覚円峰を最もきれいに望めるスポットから撮影しました。水の音が周囲のセミの鳴き声をかき消すほどの迫力でした。
ちなみに、覚円峰の名の由来は、その昔僧侶覚円が畳を数畳敷ける広さの頂上で修行したことから名づけられたとされています。
長田円右衛門の碑
修験道場になるほどの険しい山道しかなかったこの渓谷の地に、江戸時代末期に長田円右衛門が9年の歳月をかけて、荒川沿いに新たな道(御嶽新道)を切り拓き甲府城下と奥地の村を結んだことが記されています。
この新道開削は村人の生活を便利にしたばかりでなく、昇仙峡の素晴らしい景観を多くの人々の目に触れさせる画期的な役割を果たしました。
石門
巨大な天然の花崗岩が組み合わさってできた天然のトンネルです。積み重なっている岩の先端がわずかに離れていて、崩れそうで崩れないトンネルということで昇仙峡の見どころの1つになっています。
仙娥滝
地殻変動による断層によって生じた落差30mの滝。覚円峰と並ぶ昇仙峡のシンボル的存在。滝つぼからは細かい水しぶきが上がっていて少し離れた遊歩道にも届いています。
おそらく、この場所は昇仙峡の中で一番涼しい場所なのではないかと思いました。
多くの人は、途中のグリーンライン昇仙峡バス停から仙娥滝までの約2kmだけを歩いて見て帰ってしまうそうなのですが、そのルートから外れてしまうラクダ岩をはじめとする奇岩奇石ゾーンや天鼓林、羅漢寺を見ずに昇仙峡を後にするのはなんともったいないことだ思いました。
今回歩いたのは長潭橋(昇仙峡口バス停)から仙娥滝までの距離は約4.5kmで、ほとんどが平坦で渓流沿いです。私が歩いた午前中は遊歩道の木々に太陽光が遮られて、バス停付近よりも体感で3℃~5℃は気温が低く感じられました。
ロープウエイで空中散歩も!頂上展望台はパワースポットだった!
山麓の仙娥滝駅と山頂側のパノラマ台駅間の標高差約300m、距離にして約1kmの区間を約5分で移動します。
今回は、徒歩で登れる登山道もありましたがロープウエイを利用し、パノラマ台駅周辺を散策しました。
ロープウエイパノラマ台駅から5分ほど白い砂の岩場を登ると甲府盆地を見下ろす展望台に到着。
柵などがないので少し怖かったですが、かなり眺めの良い場所でした。
展望台から更にハイキングルートを登ると大きな一枚岩の頂上に辿り着きます。甲府盆地から南アルプス、そして空気が澄んでいれば富士山まで360度のパノラマが展開します。
この日は気温が35度を超えていたので、残念ながら富士山は見えませんでした。
弥三郎山頂手前に祠があって酒の神が祀られていました。酒造り名人の弥三郎の伝説が山の名の由来なのだとか。
パノラマ台駅から弥三郎岳までの登山道。
縁結び、子宝と金運の神様として親しまれているようです。
御神木が富士山を向いているので、最強のパワースポットとして多くのハイカーが立ち止まり参拝していました。
金桜神社の末社として御嶽新道が開拓されるまでの参道の要所になっていた神社です。
私も含めてですが、日本人は高いところから景色を眺めるのが好きですよね。
でも、昇仙峡の渓流沿いを2時間ほど歩いてきたので、これから登山はちょっと辛いなぁという場面でロープウエイの利用はまさに渡りに船でした。標高を一気に稼ぐ以外に、ロープウエイから見下ろす下界の風景を見下ろすのは気分がいいですよね。まさに非日常体験でした!
【昇仙峡ロープウェイ】
- 住所:山梨県甲府市猪狩町441
- TEL:055-287-2111
- 営業時間:9:00~17:30(上り最終便17:10)