iDeCo(イデコ)は老後の資産づくりを目的とした制度で、一度加入すると簡単には解約できない。ただしiDeCoの金融機関は、後からでも変更が可能だ。どんなときにiDeCoの金融機関を変更すればいいか、その際のデメリットを考えてみよう。

iDeCoの金融機関を変更すべき3つのケース

iDeCoを申し込んだ証券会社や銀行などの運営管理機関は後から変更できる。以下の3つのケースに該当するなら、iDeCoの金融機関を見直しても良いかもしれない。

iDeCo(イデコ)の変更を検討するケース1……手数料が高い

iDeCoを利用するためにはさまざまな手数料がかかる。特に現在利用している金融機関の月々の手数料が高いと感じるなら、安い金融機関や無料の金融機関に変更するのも手だろう。月々の手数料が節約できれば、その分、年金資産が大きくなるからだ。

iDeCoに申し込んで掛金を拠出している場合、毎月3つの手数料がかかる。

(1)iDeCoの実施者である国民年金基金連合会への手数料
(2)iDeCoの資産を管理する信託銀行への管理手数料
(3)iDeCoの運営管理機関である金融機関に支払う手数料

⑴はどの金融機関に申し込んでも同額で、毎月103円(税込)がかかる。⑵は金融機関によって多少異なるが、多くの場合で毎月64円(税込)程度だ。⑶は金融機関により大きく異なる。毎月の手数料が400円程度かかる金融機関もあれば、手数料を無料にしている金融機関もある。

iDeCo(イデコ)の変更を検討するケース2……運用商品のラインアップに不満がある

iDeCoは金融機関が提供するiDeCoの金融商品ラインアップから投資家が選択して運用していくため、運用商品の数が少ないと選択肢が限られてしまう。

魅力的な金融商品が用意されていない場合、納得のいく運用が行えない。たとえばiDeCoでどうしても運用したいアクティブ・ファンドがある場合、現在利用しているiDeCoの金融機関で当該ファンドを取り扱っていなければ金融機関を変更する必要が生じる。

法改正により、現在の金融機関が用意できる運用商品数は、原則として35本が上限だ(※厚生労働省の「平成30年 確定拠出年金制度等の一部を改正する法律の主な概要」による)。運用商品数に上限がある以上、金融機関も商品の追加や入れ替えは慎重になるはずだ。目当ての金融商品がなければ、金融機関の変更を検討したほうがいいだろう。

運用商品のラインナップ以外で注目すべきなのが信託報酬だ。利用している金融機関で信託報酬が高い投資信託が多いのならば、信託報酬の低い投資信託が充実した金融機関への変更も検討したい。iDeCoは長期投資であるため、信託報酬の少しの差でも将来のリターンに影響が出ることがあるからだ。特にローリターンとされているインデックス・ファンドを中心に運用していきたい場合は、信託報酬の低い商品が提供されているかどうかが重要になってくる。

iDeCo(イデコ)の変更を検討するケース3……サポートサービスが自分に合わない

iDeCoに関するサポートサービスは金融機関によって異なる。利用している金融機関のサービスに不満がある場合、より良いサービスの金融機関に変更するのも一つの選択肢だ。

iDeCoに加入すると、多くの場合はインターネットを経由して商品選択やスイッチングを行っていくことになる。金融機関の中にはインターネット以外に、コールセンターでの対応をしているところもある。コールセンターの対応時間も金融機関によって様々だ。

そのほか、WEB画面の操作性やレポートの見やすさ、スマートフォン対応なども違うので、気になる金融機関のサポートサービスを総合的に比較検討してみよう。

iDeCo(イデコ)の金融機関を変更するときの2つのデメリット

iDeCoの金融機関は投資家の希望により変更できるがデメリットもある。

手数料がかかる

他の金融機関に変更する場合、手数料がかかるケースがほとんどだ。他社からiDeCoの資産を変更後の金融機関に移す場合にも、手数料が発生することがある。

変更手続きが終了するまでiDeCoの運用ができない

iDeCoで金融機関を変更する場合、資産を一度すべて現金化する必要がある。変更手続きが終了するまでの間、iDeCoの運用は一切できない。金融機関の変更は、一般的に書類提出後2~3ヵ月程度の期間を要する。その間、iDeCo運用ができないことは、大きなデメリットといえるだろう。

iDeCo(イデコ)の金融機関はデメリットに注意したうえで変更を

iDeCoは自身で年金資産を作るための制度だ。商品の手数料やラインアップは将来の年金資産に直接影響してくるものなので、現在運用している金融機関のそれらをもう一度見直してみよう。リタイアまでの残された期間や変更することで起こるデメリットも加味したうえで変更するか否かを決めていきたい。

文・潮見孝幸(金融ライター)
 

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