AI時代、どうすれば良い?

―――半年後にはどうなってるかわかんない世界だなと最近とても感じます。すごい人が「こうなります」という予測をしたけど、全然そうなっていないこととか、思っている以上に進んでいることがよくありますよね(笑)。

おっしゃる通り予測するのは難しい分野だと思います。固定電話の時代に携帯電話ができるのを全く想像できなかったのと同じように、予想外の進化が生まれる可能性が非常に大きいと思っています。

AIブームの歴史を振り返ると、1960年代から1980年代にかけて第1次、第2次AIブームが来たのですが、実現可能なものが限られることが判明し氷河期へ突入しました。

その後2000年代になると、GPU(画像を描写する際に必要となる計算処理を行うパーツ)の普及によりAIブームが再来しました。ですが、精度の問題やコストの問題なども含め、それでもできることは限られるとされ、ブームが落ち着きつつありました。

今回、生成AIの登場により再度AIに大きく注目が集まっていますが、活用できる範囲がだんだんと明確になってきており、次第にブーム自体は落ち着いてくると思います。

「より便利な手段として、AIが登場した」というのが大元で、たとえば2045年にドラえもんができたとして、何をするのかが重要だと考えています。

―――IMF(国際通貨基金)が、AIによって先進国の6割、途上国の4割で雇用に影響を与えるという分析結果を出していますが、どう見ていますか。

個人の感想になってしまいますが、代替される仕事もあるとは思いつつ、新しい雇用も生まれると感じています。


IMFのWebサイトより引用(https://www.imf.org/ja/Blogs/Articles/2024/01/14/ai-will-transform-the-global-economy-lets-make-sure-it-benefits-humanity)

たとえば生成AIの性能を最大限活用する「プロンプトエンジニアリング」を行う人や、AIのアウトプットを検証する人など、AIが普及したからこそ生まれる業務があると思っています。

AIに代替されて職を失う人なども出てくる可能性はありますが、新たに必要とされるスキルを身につけていくいわゆるリスキリングなどをきっかけに再度職先を得られるとおもいますし、技術の進歩に合わせて私たち個々人も変化していく必要があると感じています。

―――時代はどうしても変わっていくものだと思いますが、人間が適応できる速度で変わっていくことが大事なのかなと思います。

おっしゃる通りですね。すごく早い速度で時代が変化しているので、リスキリングが追いつかず、置いていかれてしまうケースが出てきていると思います。

時代の変化速度をコントロールできればいいのかもしれませんが、現実的ではないので非常に難しい問題ですね。

―――AIが発展している時代で、個人はどうすればよいと思いますか。

AIが誰でも使える時代では、AIを使って何をしたいのか、目的と課題は何で、課題をどう解決するのか。論理立てた戦略を考えて、実行する能力が問われてくるのかなと思います。

どんな職種であっても、あくまでAIは道具の1つであって、何を実現したいか目的を整理して、その目的を達成するためにAIが最適な答えだったなら利用するという考えが大切です。

第3回に続く。