ウーバーだけで稼ぐのはリスキー

 ここまで、バイクの配達員のほうが自転車より稼げるという話を書いた。では、ウーバーイーツ配達員という仕事は稼ぐための手段として使えるものなのか。

 バイク配達員の報酬単価、時給換算データを見ると、アルバイトより時給が高い。さらにウーバーイーツは、アルバイトなどの一般的な仕事と異なり、稼ぐ時間を自分で自由に決められる。舞い込んでくる配達依頼が面倒そうな案件だった場合、断ることも可能だ。時給が高くて自由度が高いので、バイクで配達する場合は「おいしい」仕事といえるだろう。また、アルバイトは事前に勤務できる時間を提出する手間があり、せっかく時間を空けても自分の希望する時間帯すべてにシフトが入るわけではない。それを考えると時給換算で1000円程度稼げる都内の自転車配達も「あり」な仕事だろう。実際そのようなことから、シフト制のアルバイトをせず配達員をする学生も多い。なかには配達員を専業とするフリーターもいる。

 現在の都内の状況を考えると、ウーバーイーツの配達はバイクの場合は「稼げる仕事」、自転車の場合は「いい仕事」といえるだろう。だが、筆者が自転車配達を始めた6年前の1回あたりの配達報酬は480円、時給に換算すると2000円ほどだった。バイク配達員も「以前より稼げなくなった」という言葉をよく口にする。さらに配達員用アプリのアップデートの際にバグが発生して突然アカウントが停止されて働けなくなるという事案も起こっている。働いてお金を稼ぐ行為は衣食住を確保する手段であり、命をつなぐことに直結すること。スマホゲームでまれに起こるトラブルと同じ感覚で働けなくなる可能性があるのは少々厳しい(しかも、スマホゲームの詫び石のような補償はない)。なので、ウーバーだけで稼ぐのはリスキーだ。

 また、配達中にトラブルが起こった場合、運営にはチャット機能でしか連絡が取れず、多くの場合は定型文による返事しか返ってこない。担当者が応答するチャット機能に切り替わることもあるが、一定時間メッセージを送らないと回線が自動的にシャットアウトされてしまう。トラブルの状況を報告する文章を打っている時にシャットアウトされることもしばしばある。そのため、アルバイトである程度のトラブルやその対処を経験した方でないと厳しい局面も出てくるだろう。

 このように問題点はいろいろあるウーバーイーツ配達の仕事だが、働き方の自由度は他の仕事と比べると圧倒的に高い。これまでになかった働き方のスタイルは、突然仕事が入ることが多い芸能関係の仕事をする若い方や、子育てをする家庭、病気を抱える方にとってはありがたいもの。今後、報酬が下がったとしても、時給換算で800円ほどになるまでは「使える」と判断する人も多いだろう。ただ、トラブルに遭遇してしまうと、状況によっては収入源が断たれてしまうこともある。なので、配達員の仕事をするなら、シフト制のアルバイトをしつつ、空き時間で配達員をやる、もしくはトラブルに遭ってしまった方のSNSを見てトラブル対処法を学ぶといった備えをしてから働くことをお勧めする。

(文=渡辺雅史/ライター)

提供元・Business Journal

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