10年物長期国債でさえも利回りが6%を超えていた一昔前とは異なり、「失われた20年」を経験した日本にはすっかり「低金利」が定着してしまった。このような状況下、預金はもちろん定額貯金や貯蓄型保険といった商品でお金をふやすことは非常に困難だ。

となれば、株に代表される金融商品への投資に真剣に向き合わねばならないのだが、いったい何から手をつければいいのかわからず、その段階で立ち止まってしまい結局預金したまま、という経験をした人も多いはずだ。

まずは何に投資するか、ではなくどう投資するのかという基本的なスタンスを確認しておこう。必ず出てくる「分散投資」という考え方のポイントをおさえる。

分散投資のメリットとデメリットは?

分散投資とは、投資やタイミングを分散させることでリスクの低減を図るとともに、リターンの安定化を目指す投資手法であり、まさにこれがメリットといえる。まず頭に浮かぶのは複数の金融商品(株、債券、コモディティなど)に文字どおり“分散”することだろう。要は金融商品それぞれの「性格」の違いを利用して資産の総崩れを防ぐわけだ。

ちなみに分散することでリスクを低減させるという手法は、なにも投資の世界に限った話ではなく、ビジネスの世界においても用いられている。例えば経営戦略のひとつである「多角化」もそうだ。

それでは分散投資のデメリットとしては何が考えられるだろうか。おそらく最大の弱点は「リターンが最大化できない可能性」だろう。

たとえばA社株とB社株を保有しており、A社株は上昇したがB社株が下落したというような場合、A社株だけに集中投資していた場合に比べリターンは当然に少なくなる。これは見方を変えれば、B社株の下落という「リスク」をA社株の上昇によりカバーしたという点で分散投資の成功例ともいえるのであるが、結果として得られるはずであったリターンは目減りする。必ずしもリターンの最大化につながらないということは留意点としておさえておかなければならないだろう。

「分散」の仕方はさまざま

分散投資といっても、分散の仕方はさまざまだ。株と債券といった「商品別」の分散、投資する時期やリターンのタイミングをずらす「時間別」分散もあれば、は先進国と新興国というように投資先の「国別」や「地域別」の分散も広く行われている。

いずれにしても肝心なのは、その組み合わせが“異色”なことだ。ある「市場変動要因(変数)」に対して同じように反応してしまうものどうしは分散投資には向いていない。同じ反応をするということは単純にリスク(ならびにリターン)が“増幅”されるだけだからだ。

逆にある変数に異なる反応を示すものを保有していれば、理論上はどのような状況下でもリスクを低減することが可能である。実際はそう単純ではないが、分散投資はこのような考え方の上に成り立つ。

例えばモーニングスター社長の朝倉智也氏は『ものぐさ投資術』(PHPビジネス)で、国内・海外の株・債券の投資信託に分散して投資する手法を紹介している。

複数の「投資信託」商品に投資するものであるが、数ある金融商品の中から投資信託を選択する理由は、それ自体が分散に適した商品だからだというのだ。

たとえば10万円を元手に資産運用を始めるとする。個別の株式に投資しようとすれば限られた銘柄数での運用になり、十分に分散投資のメリットを享受することは困難だが、投資信託であれば500円から始められるものもある。投信は複数の銘柄を組み入れてプロが運用する商品なので、一つ購入するだけで同時に複数の銘柄に投資しているのと同じ分散効果が得られる。

次に、多くの投資信託商品の中から実際に投資する商品を選択する際の評価項目としては「コスト」と「安定性」が挙げられる。投信はプロに運用を任せるものであり、自分自身で運用するのに比べて「信託報酬」などのコストが余計にかかってしまう。その額は商品ごとにさまざまで、中には購入時の手数料である「販売手数料」が無料の「ノーロード」と呼ばれる商品も存在する。ほんの数パーセントの違いでも、長期運用をしていればそのコストの差が運用成績に与える影響は無視できるものではない。なるべく低コストの商品を検討するのは言うまでもない。

加えて運用成績(リターン)の安定性という観点からも投資先を選びたい。投信には大きく「インデックスファンド」と「アクティブファンド」というものがあるが、両者の違いはインデックス型が東証株価指数(TOPIX)などの指数に連動する形で運用するのに対し、アクティブ型はその指数を上回る成績を目指すものという点である。

期待するリターンが高くなればリスクも大きくなる。インデックス型とアクティブ型を比べれば、一般にインデックス型のほうがローリスク、アクティブ型のほうがハイリスクといえるだろう。資産運用の初心者なら、コストが相対的に低くリターンも安定しているということからインデックス型が始めやすいだろう。

投資先の選定も大事なことではあるが、それよりも時間をかけて検討しなければならないのは「どの商品にどれだけのお金を配分するか」ということ。資産運用において、その成績を左右するのは「資産配分」ともいわれる。

一例をあげると先述の書籍ではスタンダードタイプとして、「国内株式10%」「先進国株式30%」「新興国株式10%」「先進国債券30%」「新興国債券20%」というポートフォリオを紹介している。これらの数字を一つの目安に、個々人の目標リターンにあった現実的な資産配分を検討する必要があるだろう。

どの商品にどれだけの資産を配分するか、というところをしっかり落とし込み、最低でも年一回の「メンテナンス」を怠らなければアクティブファンドを上回るリターンも十分可能と著者は説く。資産運用のはじめの一歩として検討に値する手法であろう。

あわせて実践すべき「定額積み立て」と「長期運用」

「分散投資」とあわせておさえておきたいキーワードとして「定額積み立て」と「長期投資」の2つを紹介しておこう。どちらも分散投資と組み合わせることで、より一層リスクを下げ、リターンを安定させられる重要な投資手法である。

毎月など定期的に一定金額を積み立てて投資していく「定額積み立て」はつみたてNISAが始まったこともあり、今後さらに注目される投資手法だろう。この手法をうまく活用すれば市場の下落時にもメリットを享受できる。市場下落時にも定額分だけ買い増していれば、その分だけ「量」を増やせるからだ。そしてこの「量」が市場好転時に多くのリターンを生み出す源泉になる。

定額積み立て投資をする上でのポイントは、価格が上がろうが下がろうが常に「一定額」ずつ投資することだ。それにより価格が上昇している局面では極端な「高値づかみ」を回避しつつ、価格下落局面で一気に量を買い増して価格反発時に大きなリターンを得るための量を確保できる。

もう一つのキーワードである「長期運用」も初心者の方にはぜひ実践していただきたい手法だ。長期で運用するほど最大収益率と最小収益率の差が狭くなる。運用期間を長期に設定することで、ハイリスク・ハイリターンの不安定な運用を回避することができる。

分散投資そして先に見た定額積み立てと、長期運用を組み合わせることでよりリスクを抑えた、安定した資産運用が可能になるのである。

資産運用に「絶対」はない

資産運用の世界では「これをしたら絶対に儲かる」というような安易な話はまず存在しない。そのような聞こえのいい、うまい話を探そうと努力するのではなく、現実的にはいかにリスクを抑えつつ求めるリターンを得るか、ということを考え続けることが重要だ。

ここで紹介した分散投資という投資手法は、安定したリターンをなるべくストレスのないかたちで得ようと考えるすべての投資家に広くおすすめできる。特にこれから資産運用を始める初心者なら必須の手法といえるだろう。

文・MONEY TIMES 編集部

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